国内初のタミフル後発薬投入も「積極的に販売しない」理由とは?

沢井製薬・沢井光郎社長インタビュー

 沢井製薬は2020年度に向けて、他社と競合しない後発薬(ジェネリック)の投入を急ぐ。17年に米後発薬メーカーのアップシャー・スミス・ラボラトリーズ(USL)を子会社化し、米国市場にもジェネリックで本格参入した。国内では、初めてインフルエンザ薬「タミフル」のジェネリックも発売する計画だ。攻めの姿勢を強める沢井光郎社長に事業戦略を聞いた。

―米国でジェネリック展開を加速します。

「物質特許が切れている製品のジェネリックを出す方針。それがUSLの得意技だ。ただ、製剤化は沢井本体のほうが優れている。米国の特許無効を示す証明書『パラグラフ4』に挑戦し、3品目も受理された。両社の協力体制のもと、ニッチ領域を増やしていく。今後どういった製品を展開するかは明らかにはできない。ライバルにヒントを出してしまうことになるので」

―他社と競合しない製品の開発方針は。

「合成から自社で手がけるなど、当社は他社との提携でなく、自前主義でやってきた。だがお金を出して全てを手がけるより、他社と協業するなど今後は大きく方向転換する。業界内のネットワークを使って、さらに成長していかなければと考えている」

―インフルエンザ治療薬「オセルタミビル『サワイ』」を9月に国内で発売します。

「タミフルの後発薬で、国内唯一の製品。ただ積極的に販売しないという戦略をとる。薬剤耐性ができてしまうのを避けるため、『必要な時だけ使ってください』と大切に販売していく。季節性の製品なので、利益につながるわけでない。奉仕のようなものだが、それでもジェネリックの使命で出している」

―「オセルタミビル」は、厚生労働省から備蓄向け供給の要請がありました。

「18年中にタミフルで1123万人分の備蓄分の有効期限が切れ、更新となる。近年では最も大規模な更新になる。ただ、オセルタミビルは製剤なので有効期間は3年。備蓄の有効期間は10年と定められているため、製剤の供給はそぐわない。製剤よりも有効期間が長い、原薬で供給できないか交渉している」

日刊工業新聞2018年7月26日

日刊工業新聞 記者

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07月26日
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他社と競合しない後発薬の展開を事業経営の軸に据える。これまで強みにしてきた抗生物質に加え、米国で特許無効となった後発薬や、国内でオセルタミビルを矢継ぎ早に投入。従来の自前主義戦略から大きく転換し、他社との協業にも前向きな姿勢を見せる。協業でニッチ医薬品の展開も期待できそうだ。(大阪・石宮由紀子)

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