減る製薬会社の契約MR、背景に疾患領域の変化あり

CSO、がんなど専門領域を深耕

 製薬企業との契約のもとで営業活動を請け負う医薬情報担当者(MR)の数が減ってきている。医薬品販売業務受託機関(CSO)で構成する日本CSO協会によると、契約MR数はピーク時の2014年に4148人。それが17年は3515人に落ち込んだ。

 この背景を、日本CSO協会の阿部安孝会長(アポプラスステーション社長)は「製薬企業は社員に早期退職制度へ手を挙げさせておきながら契約MRは切らない、とはなかなか言えない」と話す。

 製薬各社は薬価制度改革や後発医薬品の普及といった事業環境の悪化を受け、リストラを行ってきた。大日本住友製薬は16年に早期退職を募集し、295人が応募。マネジャーを含む国内MR数は、16年度末時点で15年度末比200人減の1260人となった。田辺三菱製薬は職種別の人数が明らかでないものの、16年3月に634人が早期退職した。

 18年度に入った後も、アステラス製薬や大正製薬ホールディングス(HD)が早期退職制度の導入を発表した。公表に至っていないが、最近、複数の外資系製薬企業もMR削減を決めたとされる。

 ただ、阿部会長は「米国は(全MRに占める)契約MRのシェアが15%。8年くらい前は5%ほどだった」と指摘。日本では17年に5・6%であり、製薬企業のMRが減少していく中でも契約MRのシェアは中長期的に伸びる余地があるとみている。

 根拠の一つは、製薬企業が力を注ぐ疾患領域の変化だ。生活習慣病治療薬の開発は一巡したとされ、近年は未充足の医療ニーズが多く残る、

 がんや消化器疾患などの製品や開発品が増えてきている。「いったんMRの数を減らして様子を見て、専門領域を経験した契約MRがほしいとなる」(阿部会長)可能性があるとする。

 そこでアポプラスは19年度に、がんまたは炎症性腸疾患(IBD)の専門知識を持つMRを17年度末比6倍以上の約100人に増やす。

 IBDは消化管に原因不明の炎症を起こす慢性疾患の総称。具体的には潰瘍性大腸炎やクローン病を指し、大手だけでなく中堅の製薬企業でも治療薬を販売・開発する動きが活発化している。

 専門MRとして育てられる人材は原則として通常の業務をこなしつつ、専門医の講演を聴いたり、医師との面談の訓練を行ったりする研修を月に1―2回受ける。

 阿部社長は「価値あるMRを育てることで、値下げ圧力の防止にもなる。今、メーカーさんは契約MRを高いと思っている。高かろう良かろうでなければいけない」と気を引き締める。
             

日刊工業新聞2018年6月26日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
06月27日
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阿部社長は、製薬企業が自前ではこうした研修を行いにくいとも分析する。専門医の立場からすると、特定のメーカーの求めに応じた研修は引き受けづらい。一方、「まさにCSOは中立的なので好意的に見ていただける」。今後も人材育成の実効性を向上させることが望まれる。
(日刊工業新聞・斎藤弘和)

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