大林組がシリコンバレーに開発拠点を作ったワケ

 大林組は米シリコンバレーに技術開発拠点「シリコンバレー・ベンチャーズ&ラボラトリ」を開設、第1号開発案件を立ち上げるなど本格始動した。日本の建設会社としては初めて。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)など最先端技術を駆使した研究開発成果に期待がかかる。

 シリコンバレーの拠点は全社的な技術開発の専門チーム「オープンイノベーション推進プロジェクト・チーム」のサテライトオフィスと位置づける。創造活動を促す協働オフィスに加え、実証実験を行う研究開発ラボも備える。

 同チームは国内人口の減少や労働力不足を背景に、建設現場の生産性向上といった課題解決に向け、2017年3月に設置された。新技術やアイデアを短期間に調査・集約し、革新的技術をもつ有力な研究機関、大学、スタートアップ企業とオープンイノベーション手法を使い、生産性を飛躍的に向上させる次世代生産システムの構築に取り組んでいる。

 12月には研究開発のテーマとなる、建設業が解決すべき四つの課題を提示した。四つは、(1)AIを活用した自律設計(2)労働人口減少を背景にした現場場内搬送の自動化(3)IoT、AIを活用した建物居住者への付加価値(4)IoT、AIを活用した現場知識・ノウハウの伝承・ナビゲーション。先端技術を建設業に取り込み、現場作業の効率化や高度化を図るほか、居住者の快適性の向上も目指す。

 共同開発に向け、米国のスタートアップ企業や研究機関からソリューションを募る技術提案コンペ「Obayashi Challenge2017」を実施。事前審査を受けた13チームがプレゼンした。大林組や米子会社トップ、技術者が各提案を評価し、複数の提案者と共同開発案件が進んでいるという。

 開発案件の第1弾は、非営利独立研究機関の米SRIインターナショナルと次世代型自動品質検査システムを共同開発した。ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)や点群データ生成機能に加え、複合現実(MR)技術や「ビジュアルSLAM」と呼ぶ高度な自己位置推定技術を使う。

 「現場監督を支援する第3の眼」をコンセプトに、約15カ月で開発した。複雑で時間のかかる配筋検査業務の生産性を25―50%向上でき、労働者不足の解消につなげる。
共同開発した次世代型自動品質検査システム

(文・神谷信隆)

日刊工業新聞2018年7月25日

葭本 隆太

葭本 隆太
07月25日
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建設業界は技能労働者の高齢化や人手不足が喫緊の課題。米スタートアップとの共同開発によって今後、こうした課題を解決する仕組みを生み出すか注目です。

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