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ゼネコン大手・中堅の業績全部見せます!リニア・人件費の影響は?

「資材は17年9月から上昇、労務費は高値安定」
 ゼネコン大手4社の2018年3月期連結決算が出そろい、旺盛な建設需要に支えられ3社が営業増益となった。上昇が懸念された労務費と資材価格は想定内に納まり、建設工事の採算を示す完成工事総利益率(単体)が上昇し、高い利益率を維持した。

 鹿島は営業利益が過去最高を更新。「国内建設事業を立て直し、低採算の工事がなくなった」(内田顕取締役)。営業減益の清水建設は「大型工事が増え工事の消化が進まず売上高が減少した」(山口充穂経理部長)のが響いた。

 また、リニア中央新幹線の入札に関する談合事件で独占禁止法関連損失引当金を清水建設が20億円、大林組が41億円を計上。鹿島は「仮契約した案件の取りやめがあった」(田辺義晴総務部長)。

 19年3月期は営業増益が2社の見込み。建設需要が旺盛な中、各社は「大型工事が本格化し、資材や労務費が上がる」(鹿島の内田取締役)など資材価格や労務費の上昇を織り込む。完成工事総利益率(単体)が減少し、営業利益の伸び率は鈍化する。

 また、手持ち工事が潤沢なため、リニア談合事件に関連して国土交通省などから指名停止を受けている影響は軽微とみる。

 準大手・中堅11社の18年3月期は労務・資材費が想定内に収まり各社の営業利益を押し上げた。19年3月期業績予想は、全社増収も6社が営業減益を見込む。堅調な受注環境が続く中、大型工事が本格化し、資材価格や労務費の上昇が懸念されるためだ。

 戸田建設の鞠谷祐士専務執行役員は「資材は17年9月から上昇し、労務費は高値安定している」と説明する。工事が煩雑になれば、技能労働者の不足感も高まるため、工程が遅れないよう常に配置計画も考える。19年3月期は建設事業の採算を示す完成工事総利益率(単体)が前期比1・9ポイント減少する見込みだが、11・8%と2ケタの高水準を維持し、営業増益を目指す。

 一方、今期も売上高、各利益で過去最高を見込む五洋建設。豊富な手元工事があり、「売上利益率は若干下がるが、資材、労務価格の上昇分を吸収し利益を確保していく」(稲富路生取締役)。

 東急建設の福本定男常務執行役員は今期、「労務費、資材費などが必ず上がる」と危機感をみせる。19年3月期は採算が良くない案件が増え営業減益を見込む。「可能なら設計からプレキャストコンクリート(PC)の採用など工程の変換を提案する」(同)考え。
                       

                 
日刊工業新聞2018年5月16日/18日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
工程を遅れないようにすることが重要になるが、下請けにしわ寄せが行きそうな…。

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