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トヨタが新型PHVにパナソニック製の太陽光パネルを採用する理由

<追記あり>ルーフ上でも安定した発電を評価。太陽光パネルは自動車用途に広がるか
トヨタが新型PHVにパナソニック製の太陽光パネルを採用する理由

トヨタ「プリウスPHV」

 トヨタ自動車は2016年秋に発売するプラグインハイブリッド車(PHV)の新型「プリウスPHV」にパナソニックの太陽光発電パネルを採用する。新型プリウスPHVは車の屋根(ルーフ)に取り付けた太陽光発電パネルで発電した電力を走行に使うため、効率が高いパナソニック製を採用したとみられる。パナソニックは採用を機に、車載機器事業を拡大する。

 住宅屋根用に販売するパナソニック製「HIT太陽電池」180ワット分をガラスに挟んで、ルーフに取り付ける。HITは高温でも発電能力が低下しにくく、ルーフ上でも安定した発電を見込める。

 発電した電力は一時的にニッケル水素電池にため、走行用モーターを駆動させるリチウムイオン電池に送る。ハイブリッド車(HV)「プリウス」の旧モデルには他社製パネルを搭載し、発電した電力で車内の換気ファンを動かすオプション仕様があった。太陽光パネルを走行用電力に使うのは初めて。

ファシリテーター・原直史氏(元ソニー役員)の見方


 PHVの走行用に太陽光発電を使うというが、高性能の蓄電池とうまく組み合わせれば、活用の範囲は大きいかもしれない。発電環境の不安定さから主電源にはならなくとも、補助的電源としての可能性を拡げてほしいものだ。

 もう一つの要望はデザイン面での工夫だ。太陽光パネルを積んでいるとデザインが限られる。窓への応用など、バリエーションが増えてほしいと思う。
日刊工業新聞2016年7月6日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
太陽光パネルの電力で走行できる距離は1日最大5キロメートル。プラグインハイブリッドなので家で充電できますが、その電力のほとんどは火力発電で作られています。太陽光パネルは、リチウムイオン電池の消費を抑える程度かもしれませんが、5キロはカーボンフリー(二酸化炭素排出ゼロ)のエネルギーで走行できます。太陽光パネルにとっては自動車へと用途を広げる一歩になると期待しています。

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