魚の表皮細胞に「車輪構造」、山口大学が発見

車輪のような構造で移動する初めての例

車輪のような構造を持つ魚の表皮細胞(山口大提供)
 山口大学大学院創成科学研究科の沖村千夏技術補佐員や岩楯好昭准教授らは、魚の表面にある細胞が“車輪”のような構造を利用し移動することを明らかにした。魚のうろこを採取し顕微鏡で観察。傷の修復に関わる細胞「ケラトサイト」が自らの車輪を回転させて動くことが分かった。岩楯准教授は「車輪の仕組みを解明することで、ヒトの傷の早期治癒や傷跡が残らない治療法の開発につながるのではないか」と期待を示している。

 車輪はエネルギー効率が良い移動手段。生物が車輪のような構造を持ち、それを利用して移動する例を示したのは初めてという。

 研究グループは、ヒトの表皮の細胞に比べ魚のケラトサイトが10倍以上の速度で移動することや、細胞の形を保ち細胞の移動に関わる「ストレスファイバー」に着目した。

 ケラトサイトの標本から断層像を撮影。ラグビーボールの縫い目のようにストレスファイバーが細胞の本体を取り囲んでいることを明らかにした。さらに顕微鏡で3次元動画を撮影し移動する細胞の断面を観察したところ、ストレスファイバーが回転していることを突き止めた。

 基礎生物学研究所との共同研究。成果は17日、英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

日刊工業新聞2018年7月10日

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平川透
デジタルメディア局
記者・編集者

山口大学のプレスリリースによれば、「車輪が自律的に回転すること、車輪を破壊すると細胞の移動がおかしくなることを示し、車輪の回転が細胞移動の原動力であることを証明した」とあり、サメやトンボが備えているような、水や空気の抵抗を軽減する「(単なる)構造」であるという点と大きく違います。

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ケラトサイト

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