アルツハイマー治験開始、超音波で疾患の原因たんぱく質の蓄積抑制

東北大病院、5例の患者で安全性を評価

5例の患者で安全性を評価(東北大提供)
 東北大学病院の下川宏明教授、同大加齢医学研究所の荒井啓行教授らは、アルツハイマー型認知症患者を対象とした治験を開始した。患者の頭部に低出力超音波を当て、疾患の原因たんぱく質「アミロイドβ」(Aβ)が脳の神経細胞に蓄積するのを抑制する。5例の患者で安全性を評価した後、対照群を含む40例に実施して有効性を評価する。患者の体に負担が少ない非侵襲的な治療法として期待される。2023年頃の実用化を目指す。

 研究チームは、血管内皮で一酸化窒素を合成する酵素(eNOS)に着目。一酸化窒素には、脳血流の改善や脳の神経細胞にAβが蓄積するのを抑制する作用がある。

 マウスを使った実験では、頭部に超音波を当てるとeNOSが増加してAβ生成酵素や遺伝子の発現が低下し、Aβの蓄積が抑制された。さらに認知機能を調べる実験では治療を行ったマウスの成績が良くなるなどの効果があった。

 治験の計画では、患者のこめかみ部分から超音波を20分間、5分おきに3回当てる。これを3カ月に一回、週3回、隔日で行い、18カ月後に評価する。

日刊工業新聞2018年6月20日

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

下川教授は「装置と電気があれば治療が可能だ。医療費の削減にもつながる」と意気込みを話した。

関連する記事はこちら

特集