三菱ケミと宇部興産、20年度に電解液事業を全面統合へ

日本や欧米などの事業を統合した新会社を設立

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三菱ケミカルが電解液を生産する米国・メンフィス工場
 三菱ケミカルと宇部興産は、2020年度にリチウムイオン二次電池用電解液事業を統合する。18年初に先行して中国の事業を統合しており、残った日本と米国、欧州を含む全面統合に踏み切る。世界の電解液市場は民生用を中心に中国勢が席巻している。電気自動車(EV)など自動車の電動化シフトを捉えて、国内大手2社が結集して車載用途を中心に世界トップシェアを目指す。

 三菱ケミカルと宇部興産は、本体からそれぞれ電解液事業を分離して統合新会社を設立する。新会社の傘下に中国と米国、欧州の現地法人が入る枠組みで調整している。19年度までに各国の独占禁止法審査を終えて、20年度から新会社の運営を始める計画だ。

 もともと三菱ケミカルは車載用途、宇部はスマートフォンなど民生用途に強く、事業の補完関係を築ける。すでに統合した中国のほかに、三菱ケミカルは日本および米国、英国に、宇部興産は日本に電解液工場を持つ。電池の性能を左右する添加剤などの特許を相互利用し、より高性能な製品を開発できるようになる。原料の共同調達などでコスト削減も期待する。
リチウムイオン二次電池用電解液の世界市場


 2社合計の世界シェアは数量ベースで12%以上となる見込みで、世界首位に肉薄しそう。単純合算した事業売上高の規模は300億円程度とみられる。18年初から運営を始めた中国の共同出資会社が想定以上に受注を伸ばしている。現地の独禁法審査が長引き、予定より約9カ月遅れての統合となったが、国を挙げたEVシフトなどの追い風を受けて好調だ。

 ただ、日本の公正取引委員会の審査次第で電解液事業の全面統合計画が遅れる可能性がある。国内シェアは合計で約85%に達する。国内市場に限れば寡占化が進むものの、2社の用途は車載と民生で分かれており、グローバルで見れば中国勢のシェアも高い。

日刊工業新聞2018年7月3日

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鈴木岳志
編集局第一産業部
編集委員

今後到来するEVなどの電動車時代では電池が基幹部品となる。世界で戦う日本の電池産業を支える部材の国際競争力強化に向け、両社は関係省庁とも連携を深めていく方針だ。

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