日系素材各社から見た中国CATL、毀誉褒貶が定まらない

世界のリチウム電池市場を席巻するCATL

  • 0
  • 17
中国CATL本社
 素材各社は中国・寧徳時代新能源科技(CATL)への関心を強めている。世界の車載用リチウムイオン二次電池市場でパナソニックを抜き世界首位に躍り出たとされ、電池部材を手がける各社も無視できない存在だ。欧州市場に弱い日本勢にとって欧州自動車大手と相次ぎ供給契約を結ぶCATLの“ヨーロッパ・コネクション”も魅力的。一方で、CATLに対しては毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばし、付き合いをためらう会社も少なくない。

克服すべき課題



 現在CATLへ電池部材を供給する日本の素材大手はほぼいないようだ。化学大手幹部は「量産した電池にまだ品質のバラつきがある。これから先もずっと特許切れの技術で電池をつくるのか、中国国外で他社の特許を侵害せずにやっていけるのかが疑問だ」と手厳しい。CATLは独フォルクスワーゲン(VW)や同BMWへの車載電池供給を決め、日本勢でも日産自動車やホンダが中国向けの電気自動車(EV)でCATL製電池を採用する見通し。同社は中国市場専業ではなく、欧州での工場建設も計画。

 世界市場へ打って出る際に現状のビジネスモデルから脱皮できるかが大きな焦点だ。「欧米のルールに合わせずにCATLの品質の考え方で続けると、本当の意味で欧米の自動車への電池搭載は難しいだろう」(化学大手幹部)と懐疑的な見方は少なくない。製品の安全や信頼性に関する価値観の隔たりは今後克服すべき課題となる。

えげつない価格交渉



 今後、素材メーカーとの関係悪化を心配する声もある。素材大手幹部は「CATLの価格交渉はえげつない。左手に中国製品を、右手に我々の製品を乗せて値下げを迫ってくる。そのうち、誰も相手にしなくなるのではないか」と話す。高付加価値路線を進む日本の素材メーカーが特に苦手な商談相手のタイプだ。

 CATLはもともとTDKが買収した中国電池メーカーの車載部門が独立して誕生した。その“出自”から、他の中国勢よりは技術への安心感があるのも確か。20年には電池の年産能力を現状比2倍の50ギガワット時(ギガは10億)まで増強する計画。別の化学大手幹部は「技術力は中国勢のなかで群を抜いている。おそらく日本メーカーと同じレベルの電池をつくれるのは中国ではCATLだけだろう」と認める。「中国で業界3、4位の工場を見学したけど全然ダメだった。CATLは断トツだ」と付け足す。(文=鈴木岳志)

日刊工業新聞2018年7月6日

COMMENT

鈴木岳志
編集局第一産業部
編集委員

ベンチャーゆえの強引さや中国政府との近い距離など不安要素を数え上げれば切りがない。ただ、世界最大のEV市場である中国越しに、欧州市場まで視界に入ってきた。それが及び腰の日本勢を引き寄せるのに十分魅力的であることは間違いない。

キーワード
毀誉褒貶

関連する記事はこちら

特集