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先端の「IoTモノづくり」は東京にあり
「第4次産業革命」「コネクテッドインダストリーズ」などIoT(モノのインターネット)を活用した生産改革が産業界で注目される中、その最先端の動きが東京で顕著だ。国内でもトップクラスの生産性を確立し、また省人化や環境対応など時代の要請にもハイレベルの対応をしていないど東京の工場“は成り立たない。そこで確立した技術を他分野にも応用するなど広がりも見せている。東京のモノづくりの最前線に生産改革のヒントがありそうだ。
GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市、多田荘一郎社長、042・585・5111)が、日野本社工場で取り組む生産改善のノウハウを病院経営に役立てようとしている。キーワードはリーン生産方式とデジタル化。センサーを取り付けた医療機器から稼働データを収集・分析し、機器の最適配置や故障予測で生産性を高める。このサービスで2件の受注を獲得しており、順次商用化する。モノづくりの現場で培った知見を応用して病院内のムダを減らし、顧客の収益改善を後押しする。
「病院も工場と同じだ」―。同社成長戦略部の松石岳ディレクターはこう話す。日野工場で実施する生産改善の手法を医療現場に落とし込み、ICT(情報通信技術)の活用による“卓越した病院を作る”というコンセプトで進める。医療機器のデータを収集・分析して最適化するまでパッケージで提案。顧客に応じたサービスの提供により病院の生産性を高めてコストを抑える狙いだ。
具体的には機器の資産データやITシステムの運用データ、機器の位置情報から機器の台数、配置場所、稼働状況などを把握。これを基に、例えば故障を予測してダウンタイムを回避したり、稼働率の低い機器を洗い出してコストを平準化したり、患者が増えている診療部門に機器を追加したりする。
このサービスは超音波診断装置など可動式の小型医療機器が対象となる。2018年度中に手術器具や医療材料、薬剤にも適用範囲を広げる。無線識別(RFID)などを用いて器具や材料の需要を予測し、在庫を適正化したりする。
さらに「病院の一番の悩みでもある医療従事者の働き方改革は大事」と松石ディレクターは強調。医師や看護師など医療従事者の業務効率を高めるサービスも準備する。院内データを分析して医師による検査時間のバラつきを減らしたり、看護師が装着した通信端末から追尾してムダな動きを減らしたりする。
また改善策として保険請求といった事務処理をロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)で効率化するなどICTを積極的に活用。これらの取り組みを通じ、医療従事者の付帯作業を削減し、その分を患者のケアに充てたりする。
日野工場では課題の可視化と改善で製造リードタイムを最大65%削減した。病院向けはこれからだが、厳しい経営環境が続く病院の変革を支援する切り札となるか。まずは事例を積み上げ、その有効性を示すことが普及へのカギとなる。
マキノ(東京都町田市、牧野拳一郎社長、042・798・5611)は、板金加工の生産効率化を図るため、2018年2月に自動搬送機能を備えた物流倉庫を新設した。投資額は約3億5000万円。昨秋から有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)用電子部品などの受注が好調なためだ。
新設する物流倉庫「マキノパーツセンター」(MPC)の延べ床面積は約1229平方メートルで、2階建ての鉄骨造りになる。町田工場(町田市)までの距離は徒歩3分。部品加工から出荷工程までのタイムラグを抑えた。
MPCには、自動搬送機能を備えた高さ15メートルのダイフク製クレーンを4台設置する。幅660ミリ×奥行き44ミリ×高さ250ミリメートルのバケットに対応したクレーン3台と、1100ミリメートル角のパレット対応のクレーン1台で構成。高さ15メートルの収納棚が8列あり、バケットは約8000個、パレットは約230個を収納できる。
営業利益は19年3月期に、17年3月期見込み比約10%の改善を見込む。20年3月期売上高は同約66%増の15億円を目指す。
マキノは、電子データ交換(EDI)による受注システムや新型ファイバーレーザー加工機の導入などで生産性向上を図ってきた。倉庫を新設して工程全体の最適化を図る。
7月12日に開催する「東京都企業立地セミナー2018夏」では、GEヘルスケア、マキノの2社による「東京の工場」での取り組みについての基調・特別講演が行われる。申し込みはこちら。
工場改善の知見を病院経営に、GEヘルスケアが新サービス
GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市、多田荘一郎社長、042・585・5111)が、日野本社工場で取り組む生産改善のノウハウを病院経営に役立てようとしている。キーワードはリーン生産方式とデジタル化。センサーを取り付けた医療機器から稼働データを収集・分析し、機器の最適配置や故障予測で生産性を高める。このサービスで2件の受注を獲得しており、順次商用化する。モノづくりの現場で培った知見を応用して病院内のムダを減らし、顧客の収益改善を後押しする。
「病院も工場と同じだ」―。同社成長戦略部の松石岳ディレクターはこう話す。日野工場で実施する生産改善の手法を医療現場に落とし込み、ICT(情報通信技術)の活用による“卓越した病院を作る”というコンセプトで進める。医療機器のデータを収集・分析して最適化するまでパッケージで提案。顧客に応じたサービスの提供により病院の生産性を高めてコストを抑える狙いだ。
具体的には機器の資産データやITシステムの運用データ、機器の位置情報から機器の台数、配置場所、稼働状況などを把握。これを基に、例えば故障を予測してダウンタイムを回避したり、稼働率の低い機器を洗い出してコストを平準化したり、患者が増えている診療部門に機器を追加したりする。
このサービスは超音波診断装置など可動式の小型医療機器が対象となる。2018年度中に手術器具や医療材料、薬剤にも適用範囲を広げる。無線識別(RFID)などを用いて器具や材料の需要を予測し、在庫を適正化したりする。
さらに「病院の一番の悩みでもある医療従事者の働き方改革は大事」と松石ディレクターは強調。医師や看護師など医療従事者の業務効率を高めるサービスも準備する。院内データを分析して医師による検査時間のバラつきを減らしたり、看護師が装着した通信端末から追尾してムダな動きを減らしたりする。
また改善策として保険請求といった事務処理をロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)で効率化するなどICTを積極的に活用。これらの取り組みを通じ、医療従事者の付帯作業を削減し、その分を患者のケアに充てたりする。
日野工場では課題の可視化と改善で製造リードタイムを最大65%削減した。病院向けはこれからだが、厳しい経営環境が続く病院の変革を支援する切り札となるか。まずは事例を積み上げ、その有効性を示すことが普及へのカギとなる。
日刊工業新聞6月19日付
マキノ、自動搬送倉庫で精密加工小物の出荷のタイムラグを調整
マキノ(東京都町田市、牧野拳一郎社長、042・798・5611)は、板金加工の生産効率化を図るため、2018年2月に自動搬送機能を備えた物流倉庫を新設した。投資額は約3億5000万円。昨秋から有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)用電子部品などの受注が好調なためだ。
新設する物流倉庫「マキノパーツセンター」(MPC)の延べ床面積は約1229平方メートルで、2階建ての鉄骨造りになる。町田工場(町田市)までの距離は徒歩3分。部品加工から出荷工程までのタイムラグを抑えた。
MPCには、自動搬送機能を備えた高さ15メートルのダイフク製クレーンを4台設置する。幅660ミリ×奥行き44ミリ×高さ250ミリメートルのバケットに対応したクレーン3台と、1100ミリメートル角のパレット対応のクレーン1台で構成。高さ15メートルの収納棚が8列あり、バケットは約8000個、パレットは約230個を収納できる。
営業利益は19年3月期に、17年3月期見込み比約10%の改善を見込む。20年3月期売上高は同約66%増の15億円を目指す。
マキノは、電子データ交換(EDI)による受注システムや新型ファイバーレーザー加工機の導入などで生産性向上を図ってきた。倉庫を新設して工程全体の最適化を図る。
日刊工業新聞2017年4月6日付、2018年2月15日付記事を元に構成
「東京都企業立地セミナー2018夏」開催
7月12日に開催する「東京都企業立地セミナー2018夏」では、GEヘルスケア、マキノの2社による「東京の工場」での取り組みについての基調・特別講演が行われる。申し込みはこちら。