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意識を高め大道を歩む難削材加工の優良企業

ウラノ、つねに心技を磨き知恵をだす
意識を高め大道を歩む難削材加工の優良企業

5軸加工機で複雑形状物の加工が可能に

 チタン、インコネル(ニッケル合金)など難削材と呼ばれる材料の加工を強みとするウラノが、その持ち味を存分に発揮しているのが、航空機、半導体製造装置、医療機器といった成長分野だ。精度、品質、納期をはじめ各面で厳しい要求が求められる同分野において、培った技術・ノウハウにより、顧客各社の要求に応え続けることで業績は急上昇。手狭になった本社工場の移転計画を進めるなど、さらなる発展に向けての“次の一手”にも抜かりはない。

「職人の技」がモノを言う


 オークマ、DMG森精機、東芝機械…。さまざまなメーカーのマシニングセンター(MC)がズラリと並び、スピンドル(回転軸)がうなりを上げている。ウラノの本社・埼玉工場および長崎工場では、合計110台のMCが、交替勤務による359日(年末年始を除く)24時間体制で、ワークを加工している。

 両工場がつくり出すのは、航空機の機体部品・エンジン部品、半導体製造装置の大型構造部品など。「何をつくるかで、メーカー、機種を使い分けている」(小林社長)ため、各メーカーの多種多様なMCが導入されている。

 MCは難削材や複雑形状の加工にも威力を発揮する。ただ、MC加工だけでは顧客の求めるレベルに至らないケースが少なくない。バリ取り、面取り、磨き作業など、100分の1ミリメートルオーダーの仕上げ工程が必要で、そこで物を言うのが、経験により培われた職人の技となる。

 同社が得意とする難削材加工のルーツは1990年代初めに遡る。当時、重電向けの仕事を受注し、発電所で使われるインペラ-(羽根車)やタービンブレードを加工した。耐熱合金などの難削材も少なからず扱った。

 「難削材加工を逆に狙いにいった」。小林社長の弟で、長崎工場を率いる小林正樹副社長は当時をそう振り返っている。背景にはアルミ加工の競争激化があった。活路を求め、機械設定が難しく管理要求水準も高い分野に果敢に挑んだことが、今日につながる技術の基礎を築いている。

数年で売り上げ倍増を計画


 航空機および電機・半導体関連の2本柱の受注が高水準で推移し、先行きのメドも立っていることから、同社では前期(2017年7月期)の売上高38億円を数年で倍増させる計画を立てている。そのための施策として設備投資を活発化。2017年11月の長崎での新工場稼働に続いて、手狭になった本社工場の移転・拡張に乗り出している。

 移転先は群馬県伊勢崎市の宮郷工業団地内で、現本社工場の3倍規模の約4万平方㍍の用地を取得し、2019年2月の操業を目指して工場建設を進めていく。本社機能は2020年に移すなど、段階的な移転・拡張を計画している。

 小林社長は「群馬工場では航空機の機体や半導体製造装置向けを手掛け、埼玉工場は航空機エンジンの仕事を残す」と、両工場を併用していく考え。埼玉と群馬。県境をまたぐ両工場だが、その間の距離は直線で10キロメートル足らずのため、従業員の勤務体制などで大きな変更は不要のよう。両工場の役割分担を明確化することで、生産性をさらに高めようとしている。

需要増で矢継ぎ早に新工場 


 本社工場と並ぶ2大生産拠点の一つ、長崎工場(長崎県東彼杵町)では、2017年11月に新工場となる長崎第4工場が稼働した。「東そのぎグリーンテクノパーク」内にある長崎工場は、2006年に第1工場が立ち上がり、以後、08年に第2工場、16年に第3工場、17年に第4工場と矢継ぎ早に工場建設を進めてきた。

 米ボーイングの中大型機「787」向けをはじめとする旅客機機体・エンジン部品の旺盛な需要に応えるための増設で、すでに第5工場建設の話も持ち上がっている。

 一方で、現在、企業の多くが直面するのが人材の確保・育成だ。人手不足が慢性化し、大手の有力企業でさえも採用に四苦八苦している中、ウラノも人材確保には腐心している。小林社長は「長崎の方は何とかなっているが、関東は厳しい」と、本社工場でのリクルーティングの難しさを打ち明ける。

ベトナム人をリクルート


 こうした現状を踏まえ同社では、新機軸としてベトナム人の採用を進めている。ビザの問題など、いくつかクリアすべき事柄があるが、優秀さ、まじめさがつとに知られるベトナムの大卒者らは頼れる助っ人になると捉え、戦力化していく考えだ。

 人材獲得において新手を放つ一方で、自動化・省人化の取り組みにも抜かりはない。小林社長は「ロボットの導入に力を入れている。合理化、生産性向上の効果は絶大だ」と説明する。

 さらに2016年以降は、ロボットシステムを本格的に取り入れ、MC加工時のワーク着脱や製品検査をはじめ、生産ラインの各工程でロボットを活用している。十二分の成果を収めていることから、”ロボット化”にさらに拍車をかける構えで、あわせてIoT(モノのインターネット)やAIといった時代の潮流に沿った新システムの開発も進めている。

 ホームページでは「今こそ、日本のものづくり技術を世界に示す時(経営者の声より)」と高らかに謳っており、「MC加工技術世界一へ向けて、技術の根本原理の理解に努める。そのために人材を育てる(四つの指針より)」と続けている。

 MC、ロボット、IoT…もさることながら、肝心要はやはりヒトである、との見立てだ。そのヒトづくりに関して「つねに心技を磨き、知恵をだし、意識を高め大道を歩まん(社是より)」と社員を鼓舞激励する。

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
ベトナム人は当初工作機械オペレーターなどに充てる。まず生産現場を経験させ、優秀な人材は幹部候補として、海外の航空機・エンジンメーカーなどへの技術営業などの担当に育てる考えだ。小林社長は「本来なら地元の若者をまず採用したいが(人手不足が深刻化しており)難しい状況。ベトナムには語学ができる積極的な若者が多く、登用も考えたい」としている。

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