右肩下がりの関西電力、反転攻勢のキーワードは“3D”

岩根茂樹社長インタビュー

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関西電力・岩根茂樹社長
 関西電力は大飯原子力発電所(福井県おおい町)3、4号機の営業運転を再開したことで、昨夏に続き、7月に電気料金を引き下げる。他電力会社と比べ価格競争力をつけた料金設定にし、右肩下がりの販売電力量に歯止めを打ち、反転攻勢を狙う。岩根茂樹社長に、営業戦略や経営方針などを聞いた。

 ―平均5・36%の値下げを実施します。

 「今回は(高浜原発3、4号機の再稼働による)前年の値下げより、反響は大きい。料金は東日本大震災前の水準に戻った。反転攻勢を図り、アクセルを踏んで前進する。関西圏外の営業も、競争力ある電源を広域に活用し攻めていく」

 ―法人向けの営業戦略は。

 「法人向けは平均5・94%引き下げる。環境は上向いており、4月の高圧・特別高圧の電力需要が50カ月ぶりに前年同月比プラスになった。5月もプラスの見通しだ。法人需要を取り込むため営業体制も見直す。大口顧客には1社ごとに専任者がはりついている。多くの法人に電気やガス、情報通信、環境優位性などトータル提案で需要を獲得していく」

 ―販売電力量が伸びない中、新たな成長分野の育成も必要です。

 「不動産や情報通信の事業は利益率が向上し、手応えがある。現在は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)といった新しい技術が台頭してきた。この中で当社は脱炭素化、デジタル化、分散化という英語にすれば“3D”対応をキーワードに置く。分散化電源や蓄電技術の普及などを見据え、電気とサービス、既存インフラを組み合わせた研究開発に取り組む」

 ―政府が6月にも新しいエネルギー基本計画を閣議決定します。

 「(2030年も原発は『重要なベースロード電源』と位置付けられた目標の達成は)我々が先頭に立ちがんばりたい。原発はその経済性や安全性が一層求められる中、次世代の原子炉開発も必要だ。脱炭素に向けた技術検証を進めていきたい。再生可能エネルギーは2030年までの約50万キロワットを導入する目標の上方修正を検討し、19年度からの新中期経営計画に盛り込みたい」

日刊工業新聞2018年6月12日

COMMENT

今回の電力値下げで大阪ガスも7月から対抗値下げを発表した。岩根社長は「ガスと電気のセット割引は当社に競争力がある」と強調する。セット割引の普及は関電のガス販売拡大にもつながる。使用済み核燃料を一時保管する候補地の選定など、重要な課題は残るが、反転攻勢に向けた戦略に注目が集まる。 (日刊工業新聞社大阪支社・香西貴之)

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