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防衛装備品のノウハウが田植え機を支える

東京計器が民需市場を開拓
防衛装備品のノウハウが田植え機を支える

自動運転田植機は農業・食品産業技術総合研究機構などを中心に研究が進む

 東京計器は防衛装備関連で培ったノウハウや技術を、民需市場向けに活用する。センサー機器の技術で田植え機の自動走行に向けた自動操舵(そうだ)補助装置、通信機器の技術で半導体製造装置用マイクロ波増幅器などに、それぞれ展開を図る。防衛関連市場は大きな伸びが期待できないのに加え、主要部分のブラックボックス化を図る米国の政策もあり、技術が先細りになる懸念もある。民需市場の開拓で売り上げを増やし、技能伝承にもつなげる。

 東京計器は航空自衛隊主力戦闘機「F15」のレーダー警戒装置を手がけているほか、自動操船機器やジャイロコンパス、半導体レーダーなどの技術も高い。防衛関連は2019年度までは伸びを見込むものの、出荷計画から20年度以降は急減が予想される。

 貿易赤字を理由に米国が日本に兵器の丸ごと購入を迫っている動きもあり、日本企業の防衛関連市場は厳しい先行き環境が予想される。民需市場の開拓で、落ち込みを防ぐ。

 自動操船やレーダー、ジャイロの技術は、田植え機やコンバインなどの農業機械をはじめ、建設機械の自動運転に転用できる。センサー関係では高速道路の工事向けに平たん度を測定する装置を、半導体向けではマグネトロンを使った従来機より高密度・高集積半導体に対応できる製造装置用マイクロ波増幅器をそれぞれ商品化済み。
日刊工業新聞2018年6月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
今後もロボットや海洋探査、無人機など、民需向け製品を開発し、拡充していく。

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