事業利益下方修正のセイコーエプソン、消耗品ビジネスからどう脱却するか

碓井稔社長インタビュー

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碓井稔社長
 セイコーエプソンの2025年度を見据えた第1期中期経営計画の最終年度が動きだした。主力のプリンター事業では消耗品のインク販売で稼ぐビジネスモデルからの脱却など、主要課題への対応はまったなしだ。現在は従来計画で掲げた事業利益の目標値を960億円から800億円に下方修正するなど、事業環境の厳しさもうかがえる。碓井稔社長に戦略の方向性などを聞いた。

 ―中期経営計画の最終年度を迎えました。今期のテーマは。
 「25年度までの長期ビジョン『エプソン25』に向けて飛躍できるベースを作るのが大きなテーマ。足元は業務環境が厳しいことも考慮し、事業利益の予想は固めにみている。特に法人向けビジネスが計画より少し遅れているが、着実に成長基盤は構築できている」

 ―プリンター事業の動向は。
 「引き続き、大容量のインクタンクモデル搭載型(エコタンク)プリンターの事業を強化する。新興国を中心にモノクロのレーザービームプリンターが多く、代替需要が見込める。市場自体も成長が期待できる。18年度は950万台の販売計画だが、価格競争も激化しているので、経費もしっかりコントロールしていく」

 ―エコタンクは先進国での展開にも力を入れています。
 「昨年度から日欧米で力を入れ、大分伸びてきた。もう一段アクセルを踏みたい。ユーザーの悩みは印刷コストが高いことと、頻繁に消耗インクを交換しなければならないことだ。これを解決し、手軽に印刷できる環境を創出していきたい」

 ―オフィス向けの複合機の展開にも力を入れています。
 「高速ラインインクジェット複合機は新しい事業領域なので、着実に伸ばしていく。複合機は他社の既存機との競争が激しいが、価格で勝負するよりは環境負荷が低く、印刷性能の高さを訴求する。最近は環境負荷が低減できる点も高評価を得ており、着実に顧客を獲得していきたい」

日刊工業新聞2018年5月30日

COMMENT

事業利益の下方修正もあり、同社の株価は回復局面には至らず、市場から厳しい評価が続いている。ただ、修正の主因は1ドル=100円と為替を保守的に見積もったことが大きい。外部環境に左右されず、次の第2期中計に向けた基盤を築き、市場の評価を高めることができるのか。この1年の碓井社長の手腕が試されている。 (日刊工業新聞社・杉浦武士)

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