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手塚治虫原作の舞台とプロジェクションマッピングが融合、新たな表現へ

エプソン販売、プロジェクター用途拡大
手塚治虫原作の舞台とプロジェクションマッピングが融合、新たな表現へ

手塚治虫マンガ原作の舞台にプロジェクター採用(舞台の場面)

 エプソン販売(東京都新宿区、佐伯直幸社長、03・5919・5211)は、DDD青山クロスシアター(同渋谷区)での舞台「マンガパフォーマンスW3(ワンダー3)」にセイコーエプソン製プロジェクターを納入した。この舞台は漫画家の手塚治虫氏の漫画「W3」を原作に、プロジェクションマッピングを用いて漫画と映像を融合させて制作した。同社は新しい舞台表現への協力を通じ、プロジェクターの用途拡大を目指す。

 舞台は、地球を滅ぼすべきか調査に派遣された銀河連盟の隊員「W3」の3人が地球人の真一と出会い、敵に奪われたものを取り返す冒険の物語。セリフはほとんどなく、マンガのコマ割りや特有の擬音、銀河や海などの映像を投映。生身のパントマイムやダンスと融合して物語が展開する。

 劇中では投映された映像などで、動物が縦横無尽に走り回る。構成・演出のウォーリー木下氏は「演劇は、もともと“ごっこ遊び”の延長。これを表現することは、手塚作品のアニミズムの世界観にも通じる」と話す。機材の進化が自由な表現を支えている。

日刊工業新聞2017年11月9日



パナソニックは「フエルサブルータ」に出資


 紙吹雪が舞う中を全力疾走する鎧武者。天井からつり下げられた状態で歌い、叫ぶ踊り子。頭上に降りてくる巨大透明プールで優雅に泳ぐ人―。アルゼンチンのパフォーマンス集団による音と映像を駆使した体験型ショー「フエルサブルータ」だ。

 東京・品川のホテルで12月まで開催中の新作『WA!』は、製作委員会にパナソニックが出資している。冠スポンサーになるだけではなく、出資まで踏み込んで参画するのは珍しいという。

 パナソニックは「テクニカルパートナー」も務め、映像装置や照明、音響のほか、画像認識技術を駆使した空間演出で存在感を示す。舞台製作のコンセプトづくりから関わることで受注領域の拡大を狙うそうだ。

 単なる機器売りから脱し、自社の多様な製品・サービスをワンストップで提供する。同社の担当者は「企業向けソリューションの開発などで新たなビジネスモデルを探っていきたい」という。

 世界30カ国60都市で500万人以上の観客を魅了したフエルサブルータだが、太鼓や般若面、法被など和のテイストを加えたWA!は、訪日外国人にも人気だという。迫力あるパフォーマンスに目と耳を奪われ、エンターテイメントと電機の異業種融合に刺激を受けた。

日刊工業新聞2017年11月8日産業春秋

昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
クリエイター側がどんどん新たな表現方法を開拓している中で、メーカーもただ商品を提供するだけでなく「技術と芸術の橋渡し」のような提案が求められています。

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