【グローバル日立#03】日本人はキャリアポジションをとれなくなる

「人財マネジメント統合プラットフォーム」が引き起こす人事破壊

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昨年10月にミラノで開催された社会イノベーションのイベント(右端が東原社長)
 「かつてドーマー氏によく詰め寄られた」―。日立製作所の中畑英信執行役専務は苦笑いする。アリステア・ドーマー氏は同社で鉄道事業を担う執行役専務。

 独シーメンスなどと伍(ご)して世界で受注合戦を繰り広げる鉄道事業は、グローバルな“HITACHI”をけん引する存在。人事担当の中畑執行役専務は「『グローバル基準で部下をマネジメントできる人事制度を早く仕上げてほしい』とせっつかれていた」と明かす。

 日立は2012年度から世界共通の人材管理システムの構築に段階的に取り組んできた。同年度にはグループ全35万人の人事情報をデータベース化。13年度には課長以上の5万ポストの格付けを共通化する「グローバル・グレード」を、14年度には組織と個人の目標を連動させパフォーマンス向上を図る「グローバル・パフォーマンス・マネジメント」を導入した。

 そして1月、これまでの取り組みをベースにした総仕上げとして、「人財マネジメント統合プラットフォーム」の本格運用を始めた。個々の従業員の経歴や資格、語学力、人事評価などの情報を見える化し、条件を指定して簡単に検索できる。

 例えばメキシコで新規プロジェクトを立ち上げるケース。「従来も人事部門に依頼すれば、スペイン語の使い手や関連スキルを持つ人材を探せた。しかし1週間はかかる。スピード勝負の時代に、そんな時間はかけられない」(中畑執行役専務)という。人財マネジメント統合プラットフォームを活用すれば、プロジェクトごとに最適な人材を国内外から迅速に集められるようになる。

 真のグローバル企業に進化するためには、IoT(モノのインターネット)技術を使って顧客の課題解決に当たるソリューション事業を海外で拡大することが不可欠で、現地マーケットに精通する人材が求められる。また顧客の課題は多様化しており、人材の多様化がもっと必要だ。

 グローバル人材を呼び込み、活躍してもらうための制度は仕上がった。今後はどう運用していくかが重要になる。

 人財マネジメント統合プラットフォームは、従業員がスキルや経験のデータを更新し、自らプロジェクトに志願する仕組み。懸念の一つは、自己PRが総じて苦手な日本人。「今のままでは、日本人はキャリアポジションをとれなくなる」と中畑執行役専務は警告する。HITACHIの一翼を担うのは私だ―。日本人スタッフにも覚悟が問われる。
                 

日刊工業新聞2018年4月23日

COMMENT

後藤信之
編集局ニュースセンター
副部長

日立グループで外国人スタッフが増える中、正当な評価を下しているのどうか人事部門も厳しく評価される。中畑執行役専務は海外の有力企業の人事担当役員と面談して積極的に情報交換し、自社の人事制度のレベルを確認しているという。日立の社内外で人事のグローバル化が不可逆的に加速している。

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