三菱電機が「バイクに冷蔵庫」。途上国の貧困・富裕層、2つのニーズを満たす

未来志向の開発、SDGsの理念と一致

 三菱電機のデザイン研究所が、バイクの荷台に載る冷蔵庫を試作した。インドネシアの島で暮らす魚売りに魚の保管や輸送で使ってもらう小型冷蔵庫だ。

 同研究所未来イノベーションセンターの松山祥樹デザイナーは、米NPO・コペルニクと漁村を訪ね、魚を入れたバケツをつり下げてバイクを運転する島民を目にした。鮮度が落ちやすく、低収入の一因となっていると分かった。

 日本には保冷車があるが、松山氏は「現地では日常的にバイクが使われており、親和性がある」と、バイクの電源で動く冷蔵庫を着想した。

 日差しを受ける部分を狭くするため外観を台形に設計。側面に傾斜ができ、雨が流れるようにデザインの工夫で機能を持たせた。現地で使ってもらうと、「魚が傷まず、夕方まで販売できるようになった」と評価する声が聞かれた。

 松山氏は同じ形のままで色を変えた冷蔵庫を富裕層に販売することも考えている。想定する用途は、ベッド脇に置くような2台目の冷蔵庫だ。貧しい漁村では冷蔵庫は高価なため、富裕層もターゲットにして量産効果を生みコストを抑える。

 未来イノベーションセンターは、未来志向の開発が研究テーマ。将来を見て技術革新を促すSDGs(持続可能な開発目標)の理念と一致する。バイク搭載冷蔵庫の事業化は未定だが、目標1(貧困)、3(健康・福祉)に貢献する。「一つの商品で二つの市場ニーズを満たす」(松山氏)発想が革新的だ。

 三菱電機にはSDGs達成への貢献を始めた事業もある。熊本市で2月に完成した白鷺電気工業本社ビルに空調、照明、給湯機などの設備をまとめて納入した。太陽光発電の利用も加わるとエネルギー消費量を70%削減できる。

 国はエネルギー消費を大幅に減らすゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を推進する。三菱電機は商機と捉え、設備の選定から運転まで含めた省エネ支援を提案している。

 目標の7(エネルギー)、13(気候変動)に該当する。ビルシステム事業本部ZEB推進プロジェクトグループの松下雅仁マネージャーは「環境意識の高いビル所有者ほど、ZEBに関心がある」と話す。同社は顧客と目標を共有しながらZEBに取り組める。

 いま社内ではSDGsと事業との整理を始めた。村野茂CSR推進センター長は「SDGsは経営戦略と一致する」と確信し、SDGsを織り込んだ事業目標策定を目指す。

日刊工業新聞2017年3月20日

松木 喬

松木 喬
03月21日
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 同じモノで途上国の住民、富裕層の2つのニーズを満たす-。そんな商品て他に思い浮かびません。社会課題を起点に考えたから発想できたのだと思います。SDGsが浸透し、従来の発想とは違う売り方、商品が次々と出てきたらと思います。記事では触れられませんでしたが、上からフタを開けられるので中を丸洗いでき、清潔に保てます。

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