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「迎撃ミサイル」「イージスシステム」 数百の防衛品サプライヤー情報をどう守る?

米の指針厳格化で三菱重工が管理強化に動く
「迎撃ミサイル」「イージスシステム」 数百の防衛品サプライヤー情報をどう守る?

レイセオンのミサイル防衛システム(同社公式フェイスブックページより)

 三菱重工業は米政府向け防衛装備品の開発・生産に関する情報管理体制を強化する。米国が政府調達の情報管理指針を厳格化したことを受け、米ロッキード・マーチンなどと装備品を共同開発する三菱重工は、名古屋誘導推進システム製作所(愛知県小牧市)の情報システムなどに数億円を投資するほか、サプライヤーを含めたサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティー対策を整備する。

 米政府は2017年に防衛関連でこれまで秘密指定していなかった情報に対しても一定の手順に基づく「CUI」管理の体制を義務付けた。米国国防総省と契約する装備品メーカーは、米国立標準技術研究所の指針『SP800―171』相当のサイバーセキュリティー体制を整えなければならない。

 三菱重工は米レイセオンとの迎撃ミサイル、米ロッキード・マーチンとのイージスシステムのそれぞれの共同開発について対応を進める。ミサイルや航空・宇宙エンジン、制御機器関係製品を手がける名古屋誘導推進システム製作所などに「大きな金額の先行投資が必要」(三菱重工関係者)という。

 対象となる2プロジェクトに限っても数百社にのぼるサプライヤーが関与する。これら企業についての情報管理体制強化も把握する必要が生じる見通し。中には「10―20人という企業も存在する」(同)とされ、中小・小規模事業者にとっては負担が重い。
日刊工業新聞2018年4月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
防衛装備調達における米国からの輸入が増加し、国内調達の規模が縮小するなど防衛生産・基盤技術を取り巻く環境が厳しさを増す中、投資負担に嫌気を差して防衛産業から撤退するサプライヤーが出る懸念がある。

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