絶好調の電子部品業界、悩みの人材難をインターンシップで解決できるか

「2―3年かけて育てるのでは会社の成長と技術革新の速度に追いつかない」

 スマートフォンや自動車などの旺盛な需要を追い風に電子部品、半導体業界が絶好調だ。各社の売上高も拡大し成長を続けているが、成長に見合う人材を確保するのは簡単ではない。空前の人手不足に加えて、BツーB(企業間)中心の仕事のため一部の大手企業を除けば学生の知名度も決して高くない。産業界ではあの手この手で人材の確保に力を入れている。

 アルプス電気の内山光美人事部人材開発グループマネージャーは「業績が良いときこそ、人材確保が最重要課題。人事部が行うだけではなく、全社活動に変わった」と話す。

 同社では人事部だけでなく事業部が希望する人数を提示し、新卒採用人数を決める。これにより各事業部の採用への関心が高まり、会社全体が若い人から刺激を受けることに意欲的になる効果があった。

 村田製作所では、成長の柱に位置付ける電池事業を手がける東北村田製作所(旧ソニーエナジー・デバイス)で採用目標を十数人に拡大。採用担当者らは「今後、伸びる市場とされているため大手を振ってアピールできる」と話す。

 同社の説明会などに参加した学生の多くが「将来性がある」とポジティブな印象を持つという。今月に開いた説明会では、起業を目指す早稲田大学の学生なども「経営を学びたい」と参加した。

 日本電産は自社の認知度とブランド力向上を目的に、インターネットメディアで積極的にコンテンツを展開している。こうしたブランド戦略も後押しし、2018年4月の新入社員数は過去最高を更新する見込みだ。

 同社の永守重信会長兼社長は京都学園大学を運営する学校法人の理事長に就任。「これまでのように大学から学生をとって、2―3年かけて育てるのでは会社の成長と技術革新の速度に追いつかない」(永守会長)と、即戦力人材の育成・確保を進める考えだ。
                   

 業界では普及が進むインターンシップ(就業体験)を活用する企業も多い。岡崎仁美リクルートキャリア就職みらい研究所所長によれば「魅力的な業界だがBツーB分野は知名度という点で不利になりがち。早い段階で業界に興味を持ってもらうことが大切で、インターンシップは重要だ」と話す。

 新卒学生の約半数がインターンシップを経験した業界に入社すると言われる。電子部品業界は仕事内容が分かりづらいなどの課題があるが、インターンシップで学生の業界への理解も進む。

 機械・電子部品を手がけるミネベアミツミではインターンシップを含めた採用活動で工場見学などを行い、どの事業部が何の製品に携わっているかを学生に明確にする。

 松田達夫常務執行役員は「採用時から具体的な仕事内容を伝えている。内定辞退や離職、互いのミスマッチを減らす効果的な方法だ」と強調。「専門的な業務を覚え、のめり込んでいくことが自信につながり、自己実現になる」(松田常務)とする。

 京セラはインターンシップで「腰を据えて、何か一つやり遂げることを考えてもらう」(大西実人材開発部長)。また、専門的な知識以外に人生観などをテーマにした内容も扱い、キャリアプランを考えてもらう。

 大西部長は「若手社員や学生は『自分の活躍する企業や職業はここではないのでは』と意思が定まらない“青い鳥症候群”に陥りやすい」と指摘する。転職が当たり前になっている上、空前の売り手市場という状況も影響している。
                    

(文=渡辺光太、福沢尚季、京都・園尾雅之)

日刊工業新聞2018年3月29日

日刊工業新聞 記者

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03月31日
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 半導体製造装置業界は、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などの普及で好況に沸いている。だが、米SEMI(カリフォルニア州)は「世界的な人材不足は1万人以上になるだろう」と分析。人材確保がグローバルレベルの課題だ。
 アドバンテスト人事部の森章氏は、学生に自社や業界の魅力を伝える手段として「(半導体製造装置・材料の展示会)『セミコン・ジャパン』などの学生向けイベントに参加している」と話す。ディスコは「IoT、AIなどの根幹を支える半導体製造装置業界の将来性も説明している」(採用グループの福田研二企画チームリーダー)という。
(日刊工業新聞第一産業部・福沢尚季)

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