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住友電工はハーネスから車載部品のメガサプライヤーに脱皮できるか

西田副社長に聞く「23―27年度の間に10位以内に」
住友電工はハーネスから車載部品のメガサプライヤーに脱皮できるか

住友電気工業公式ページより

住友電気工業は2018年3月期にワイヤハーネス(組み電線)を中心とする自動車事業の売上高で過去最高の1兆5800億円を計画する。車の電動化や電装化の波に乗り、事業領域は情報・電源機器にも広がる。今後の目標を「メガサプライヤー」とする西田光男副社長に話を聞いた。

 ―18年4月から始まる5カ年の新中期経営計画の見通しは。
 「自動車用ワイヤハーネスで世界首位を目指してきたが、今後は製品が電子制御ユニット(ECU)などにも広がる。競争相手はデンソー、独ボッシュ、独コンチネンタルなどメガサプライヤーだ。当社はハーネスの強みを生かしたメガサプライヤーを目指し、情報や電源のネットワークから派生するビジネスを確実にモノにする」

 ―具体的な目標は。
 「サプライヤーで10位以内、売り上げ規模で2兆円がターゲットになる。23―27年度の間には達成したい。技術を補完するためのM&A(合併・買収)も進める」

 ―主力のワイヤハーネスの現状は。
 「18年3月期は過去最高の売上高になる見通しだ。販売シェアは16年に世界首位に立ったと見ており、中国現地企業なども集計に入れた場合の当社シェアは24―25%程度だろう。車の軽量化に役立つアルミニウム製ハーネスは25年をめどに、ハーネス全体に占める割合を現在の約13%から約60%に高める。動力系ハーネスはすべて銅製から置き換える。強度と耐食性の課題も克服し、銅製とほぼ同じ生産設備を使える」

 ―車の電動化や電装化で伸ばせる製品は。
 「高圧系の需要が間違いなく増える。例えば、車後部の高圧バッテリーと前部のモーターをつなぐ床下パイプハーネスは、すべての電動車両に使える。低ノイズ、耐外傷性、高放熱など独自技術がある。車300万台分以上を販売済みで、さらに増える。カーエアコン用電源ケーブルやモーター用平角巻き線も伸ばす」

 ―車向けの研究開発投資は増えますか。
 「今は車が大きく変化し、手を抜けない。車載機器関連の研究所を中心に年100億円以上投じている。ここ2―3年が勝負で、年率1―2割増やす」
「この時代に仕事ができるのは楽しい」と目を輝かせる西田副社長

(聞き手=大阪・錦織承平)
日刊工業新聞2018年3月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「この時代に仕事ができるのは楽しい」と目を輝かせる西田副社長。車業界が大きな変革期を迎えるのに合わせ、ハーネスメーカーから車載部品のメガサプライヤーへと飛躍を狙う。横浜製作所(横浜市栄区)のテストコースでは第5世代通信(5G)や運転支援システムなどの実証実験にも取り組む。電気自動車(EV)市場への参入を狙うダイソンなど新興企業の情報収集にも力を入れており、変化への備えを着々と進めている。 (日刊工業新聞大阪支社・錦織承平)

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