東大阪の町工場が外国人観光客向けツアーの目玉に!留学生も参加

地域のブランド化につながるか

 大阪府のモノづくりを代表する東大阪市で、生産現場を外国人に見てもらう取り組みが活発化している。近畿大学はロシアから大学生を招き、企業見学を通じた人材交流を実施。JTB子会社と中小製造業が参画する大阪モノづくり観光推進協会は“町工場早まわり”のモニターツアーを企画した。町全体を資源に海外から人を呼び込む。“東大阪産”の部品や装置は海外で広く普及している。生産現場を見てもらい将来の受注の種にするとともに、地域ブランド化に一役買っている。

留学生で手応え


 「素晴らしい」。ひな人形を製作する松よし人形の工房では、職人の繊細な作業を見た留学生たちから次々に感嘆の声が上がった。町工場早まわりツアーは1日6社を見学する。海外旅行客を呼び込むため、まずは留学生向けに実施した。外国人の反応や受け入れ側の整備体制を検討する狙いだ。ベトナムや中国、ボリビア、ポーランドなど10カ国17人の留学生が参加した。

 製缶加工会社のサンライズ鉄工では生産ラインを見学した後、溶接を体験。防護服と溶接面を身に着けた留学生はペン立てを製缶。自作品を持ち帰るなど、モノづくり体験型のプログラムも組み込まれた。今後、留学生のアンケートを基に、外国人向けモノづくり観光を拡大する具体策を練る。

海外大学と連携


 一方、近畿大はロシアの五つの大学から理工系の学生10人を招き、市内の企業2社を見学した。これは文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」のプログラムの一環。同事業は日本にとって重要な国・地域の大学と質の高い連携や学生の交流を進め、世界に通用する人材を育成する。近畿大はロシアの学生に日本のモノづくり体験を提供し、次世代人材として知見を深めてもらう狙いだ。

 見学先の1社は、鉄道車両部品を生産するエクセラント。レーザー加工や曲げ、マシニングセンター加工、溶接など一連の工程を見学。大型の設備とモノの動きに目を見張り、スマートフォンで撮影する学生の姿が目立った。また、藤塚精密金型は樹脂金型の切削や、技能が必要な組み立て工程などのノウハウを披露。学生は「一つのモノを作るのに、多くのプロセスとコストがかかっている」ことをモノづくりの現場でじかに感じた。

エクセラントでは鉄道車両の台枠や屋根、構体の製造を見学

技術力売り込み


 ロシアの鉄道車両や金型は輸入が多いものの、いずれも日系企業が食い込めていない分野。西藪和明近畿大理工学部教授は「ロシアになくて東大阪にある技術を見てもらうことは、将来のビジネスの一助にもなり得る」と語る。

 近畿大は関西の私大として「大学の世界展開力強化事業」の選定を初めて受けた。3月に同大から学生をロシアに短期派遣するほか、9月には半年間の交換留学を実施。そこでも市内企業の研修を盛り込む予定だ。
(文=東大阪支局長・坂田弓子)

日刊工業新聞2018年2月23日

昆 梓紗

昆 梓紗
02月24日
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観光して感動してもらうだけでなく、ビジネスにつながったり海外人材の獲得につなげる具体的な工夫も求められそうです。

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