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トヨタ社長の社用車と比較される「CX-8」に、マツダらしい頑固さを見た

開発者が語った大型ミニバンとの違い
トヨタ社長の社用車と比較される「CX-8」に、マツダらしい頑固さを見た

マツダ公式ページより

マツダ商品本部主査・松岡英樹氏>
 より室内スペースを必要とし、より多くの人を乗せたいというお客さまのニーズに対し、マツダらしい走りやデザイン、質感を兼ね備えた最上位SUV(スポーツ多目的車)として新しく提案したい。ミニバンの代替という発想の車ではない。

 3列シートSUVというジャンル自体、日本製の車はほとんどなく海外製しかない。国内で売れている台数は毎月3000台ほど。そこで毎月1200台を売りたい。新しい市場を作るぞという意志ととらえて欲しい。

 実質的に(トヨタの「ヴェルファイア」クラスの)大型ミニバンと比較されることもあるかもしれない。3列シート車だが、スライドドアではないので乗降性では負ける。だがヒンジドアは80度開くし、ドアの間口もCX―5より237ミリメートル長くとった。2列目シートを前にスライドすると同時にホールドする機能など、3列目にも容易にアクセスしやすいよう工夫した。

 ミニバンは確かに広いが、車内で各自ゲームをしたり、勝手に話していたりと走りの楽しさではない。スライドドアのよさは乗降性だけに限られ、ボディー剛性が落ちて走りに影響するのが難点。

これに対して、マツダが考えている人間中心の思想、スカイアクティブ技術や魂動デザインといった一貫した考え方をちゃんと盛り込んで3列シート車を作ろうと。ミニバンほど広くはないが、静粛性を高め、乗員みんなが適度に包まれる感じで、走りの楽しさを共有できる車を作った。

 エンジンは今のところディーゼルのみ。新しく市場を作る車なので、そのコンセプトをわかりやすく表現する上でもディーゼルしか考えられなかった。

 投入以来最大の改良を加え、余計な壁面に燃料が当たらないように卵形をしたピストン上部の形状を改良。同時に超高速応答の最新の燃料噴射装置、デンソーの「i―ART」を初採用した。

 最大トルク450ニュートンメートルと力強く、7人乗って荷物をたくさん積んでも快適で楽しいドライブができる。低燃費と72リットルの大容量燃料タンクにより、東京から九州まで無給油で走れる。
日刊工業新聞2017年9月27日
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
トヨタ自動車の豊田章男社長が使う社用車がまさに「ヴェルファイア」なので、このクラスのミニバンをなぜレクサスにラインアップしないのか疑問だった。しかし今回のCX―8の取材で、思わぬ所からその疑問への答えをもらった気がする。マツダらしい頑固さで市場投入したこの車だが、どこまで支持を集めるか注目したい。

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