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来年の株価は?年明けから2万3000円台へ

好調な企業業績がけん引もリスクも多し
  東京株式市場にとって2017年は歴史的な記録が相次いだ1年だった。10月中に15営業日連続で株価が上昇する戦後最長記録を更新し、11月には約26年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新した。企業の好業績を追い風に、外国人投資家による日本株の買いが株価上昇を支えた。

 後半にかけて日経平均の上昇傾向が鮮明になった17年。要因として企業業績が挙げられる。米国を中心に海外市場が堅調だったことや、1ドル=113円台と為替相場が安定的に推移したことも重なり、総じて輸出業を中心に業績を大きく伸ばす企業が相次いだ。

 特に10月後半以降の中間決算発表ではソニーや旭化成など、400社近い企業が年度の業績見通しを上方修正。日本株は米国株などと比べPER(株価収益率)が約14倍と相対的に低く、割安感があったこともあり、好業績が確認されると海外投資家による買いの動きが加速した。

 一方、記録更新が相次いだ割には、市場全体の活性化には必ずしもつながっていないとの意見もある。実際、個人投資家は株価上昇の局面でいったん利益確定売りをしたものの、その後の株価上昇についていけず「待機資金が滞留している」(証券会社幹部)といった現状が散見された。

 18年の相場展開はいかに―。そのヒントはやはり企業業績にありそうだ。SMBC日興証券の調べでは18年度の上場250社について前年度比8・7%の経常増益を見込む。市場関係者では、業績相場を背景に「年明けから2万3000円台を目指せる展開」(証券アナリスト)と前向きな意見が多い。
日刊工業新聞2017年12月14日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
リスク要因も多々抱える。年前半には日米の中央銀行総裁の任期が満了し、秋以降は自民党総裁選、そして米中間選挙といった株価に大きな影響をもたらすイベントが相次ぐ。こうした一つひとつの局面を乗り越え、株式市場が安定的に上昇できるのか。市場関係者の関心は早くも、18年相場に向かっている。 (日刊工業新聞経済部・杉浦武士)

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