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ロボット、とりあえずできることから 新しい仕事に挑戦中

生活・ビジネスシーンで挑戦中
ロボット、とりあえずできることから 新しい仕事に挑戦中

カタリアヘルスの「Mabu」

 サービスロボットが新しい仕事に挑戦している。服薬の時間を知らせる、拍手で盛り上げる、名刺交換する、といったちょっとした仕事ながら、しっかりと役に立つ。人間と同じように複数の仕事をこなすロボットはまだまだ登場しそうにない。まずはできそうな仕事から役割を果たしていく。

患者のマブダチ


 ロボット開発ベンチャー企業の米カタリアヘルスが開発した「Mabu(マブ)」は、在宅医療を支援する対話ロボットだ。米国で製薬企業や病院と連携して実証実験に入る。日本では技術商社のマクニカ(横浜市港北区)が扱うが、展開には制度面などで調整が必要という。

 マブは音声と胸のタブレットでコミュニケーションを取る。患者の状態を問いかけて把握するほか、会員制交流サイト(SNS)と連携して服薬の時間に「薬を飲む時間ですよ」と声で教えてくれる。製薬企業や医療従事者、薬局と患者の状態を共有し、健康管理につなげる。

 将来はウエアラブル機器でリアルタイムに血圧や体重などのデータを収集・管理し、患者に最善の処方を行えるようにする方針だという。

拍手で盛り上げ


 バイバイワールド(東京都品川区)が開発した拍手ロボット「ビッグクラッピー」は、どんな場所でも拍手で盛り上げる。スマートフォンのアプリケーションで操作したり盛り上げに使う声の台詞を入力したりできる。呼び込みや飲み会、誕生会などでの活用を見込む。価格は29万8000円(消費税抜き)。

川崎市の訓練での知見は全国に提供(同市の訓練会場)

 特徴は拍手の音。独自のやわらかい素材を使って人の拍手と近い音を出せる。生の音なので“迫力”が違うという。音声は人の声を使うことも合成音声に変化させることも可能。一本締め、三本締めなどモードも多彩だ。

踊る受け付け嬢


 THKとアルゼゲーミングテクノロジーズ(東京都江東区)が共同開発した受け付けロボット「アリサ」は、近未来的なデザインで全体をまとめた。背後の大型画面もサイバー感を出した表示にしている。音声と画面による受け付けだけでなく、相手と一緒に写真を撮る、歌と一緒に踊るなど、エンターテインメント性を加えて差別化している。

THKとアルゼゲーミングテクノロジーズが開発した「アリサ」

 THKのロボット技術とアルゼゲーミングのソフトウエア技術を組み合わせた。アルゼゲーミングが来春に本社を移転するのに合わせ、新社屋での採用が決まっている。

 ちゃんと両手で名刺を受け取ります―。マイクロテック・ラボラトリー(相模原市南区)の名刺交換ロボットは、同社の小型モーターを採用し、静かな動きを実現している。名刺を片手に持たせると、両手で受け取り直してしまう。次に自分の名刺を脇から取り出して両手でしっかり渡してくれる。

 同社によると、ギアなしで高トルクであるモーターの特性をアピールするためにロボットを作成した。外見を磨き上げるなどして格好良く仕上げ、本社に設置するほか展示会で利用する。
(文=石橋弘彰)
日刊工業新聞2017年12月15日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
それぞれ「国際ロボット展」に出ていましたが、Mabuはロボットとしての機能はシンプルで、使い手がネットワークにつながりやすくするためのインターフェイスという感じ。日本のサービスロボットはついつい「ロボットそのもの」の機能を追求しがちですが、機能は単純でも生活にいますぐ取り入れられるロボットが増えればより普及が加速するのではと思いました。

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