美味しいだけじゃ「おせち」は売れない!今はインスタ映えに…

稀勢の里やくまモンも登場、プラスアルファの価値を訴求

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そごう・西武は中身を詰め替える「リフィル型おせち」を提案
 2018年に向けたおせち商戦が早くも始まる。百貨店各社は9月下旬ごろから店頭やネットでの受注を始める。そごう・西武は重箱を再利用し、中身を詰め替えて使うことを想定した「リフィル型おせち」を提案。高島屋や千趣会は減塩など健康に配慮した商品を出す。「伝統行事」以外の価値を打ち出そうと、各社がしのぎを削っている。

 おせちは「幸せを重ねる」験担ぎで、重箱に詰めるのが一般的だ。ただ「お客さまからは『昨年買ったおせちの重箱が捨てられず、残っている』との声が多い」(そごう・西武の羽鳥敏春マーチャンダイザー)ことから、そごう・西武は「今年は重箱入り」「来年は中身だけ」を販売するリフィル型おせちを考案。「環境配慮型おせち」として訴求する。

 重箱は市松模様の越前塗で、金や赤など4種類を用意する。おせちだけではなく花見や運動会にもなじむデザインで、食洗機にも対応する仕様にすることで「若い世代にも『重箱』が受け入れられるようにした」(同)。

 写真投稿アプリ「インスタグラム」など会員制交流サイト(SNS)への投稿や、家族とのコミュニケーションツールとしての役割を意識した商品も多い。

 大丸松坂屋百貨店は大相撲ブームに着目し、横綱の稀勢の里や大関の高安が所属する田子ノ浦部屋監修のおせちやちゃんこ鍋を発売する。白星にちなんだ白いふたには、稀勢の里や高安のサイン入り手形を印刷した。

 高島屋は「世代を超えて愛される」ウルトラマンシリーズや、熊本県のゆるキャラ「くまモン」をモチーフにしたおせちを販売。エスビー食品と組み、おせちの定番である数の子やなますなどを、香草のパクチーで香り付けたおせちも出す。

 健康配慮型のおせちも目に付く。高島屋は石井食品と共同で、塩分量を約2グラムに抑えた商品や、小麦や卵を使わず食物アレルギーに配慮した商品を発売する。千趣会の「スターウォーズ三段重」は従来比54%減塩した。

 高島屋では00年以降、おせちの売り上げは右肩上がりだ。自宅で作らず購入する人が増えているほか、普段は節約しても、ハロウィーンなどのイベントには出費を惜しまない「メリハリ消費」の傾向が後押ししている。追い風を取り込もうと、個性を訴求する動きは続きそうだ。
(文=江上佑美子)

日刊工業新聞2017年9月7日

COMMENT

江上佑美子
編集局第二産業部
記者

高島屋によると、2017年正月向けのおせちの売れ筋は「1万円台の少人数向け」と「5万円以上の高額品」の二極化が進んだとのこと。価格が高く、事前に試すのが難しい性質であるため、強い個性が求められているようです。

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