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おせちに恵方巻に夏越のごはん。小売り各社が“夏の食”を新提案

行事と絡めて需要喚起、そして無病息災も
おせちに恵方巻に夏越のごはん。小売り各社が“夏の食”を新提案

イオンリテールは「夏おせち」の提案を始めた

 夏に新たなイベントを提案し、「食」の販売に結びつける動きが小売業で活発になっている。消費が停滞している中、行事と絡めることで需要を喚起する狙いだ。蒸し暑さで食欲が落ちる時期であり、味付けや分量、栄養価に配慮することで、食べやすくするよう工夫している。

 イオンリテールは21日、ローストビーフやチーズなどを白の重箱に詰めた“夏おせち”を発売すると発表した。24日から予約を受け付け、お盆時期の8月13―15日に店舗で渡す。親族や友人らが集まった際にさっぱりと食べられるよう、ワインと合うオードブルなどを用意した。すしやデザートなどの盛り合わせも含めて14品目を展開し、計4万5000個の販売を目指す。

 夏おせちは2012年ごろに登場したとされるが、まだ一般的ではない。イオンリテールが発売するのは初めてだ。西野克食品商品企画本部デリカ商品統括部長兼デリカ開発部長は「(消費者は)しっかりと提案すれば買ってくれる。新しい食のスタイルを提案したい」と意気込む。

 行事食の提案では、節分に巻きずしを食べる大阪などの習慣を、セブン―イレブン・ジャパンなどが「恵方巻」として全国に広め、ヒットした例がある。この流れを広げようと、立秋前日である8月6日の「夏の節分」向けに、コンビニエンスストアなどは「夏の恵方巻」の提案に力を入れている。

 サークルKサンクスはサンリオのキャラクター「ぐでたま」とコラボレーションし、厚焼き卵を用いた恵方巻の予約を27日から受け付ける。子どもも楽しめる商品で、行事の定着を狙う。ミニストップは2月の節分で販売した「幸福恵方巻」を暑い季節に食べやすくするため、2月の約6割の大きさで8月4―6日に販売する。

 西友は日本各地の神社が6月30日に実施する「夏越(なごし)の祓(はらえ)」にちなんだ、「夏越ごはん」の販売を始めた。夏越の祓は半年の厄を祓(はら)い、残り半年の無病息災を願う行事だ。

 米穀安定供給確保支援機構が夏越の祓に合わせた行事食として、雑穀ご飯や夏野菜のかき揚げなどを用いた夏越ごはんを、15年から提唱している。西友は栄養価の高い食材を用いた「夏を乗り越えるメニュー」として、今年初めて発売した。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年6月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
最近、季節感を最も感じるのがコンビニだったりする。日本の文化・習慣を背負うぐらいの気持ちで。

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