YRRにVKK…偽物許さぬ「YKK」のブランド保護活動

函館税関が偽造ファスナー1600点(1着4本×400着)を見つけ、知的財産侵害物品として輸入を差し止めた

 YKKが同社製ファスナーの悪質な偽造品への対策に力を入れている。偽造品を放置すると消費者への被害だけでなく、自社のブランドを毀損する恐れがある。同社では税関への啓発活動や真正品への置き換え、ブランド保護の活動、識別技術の提案など偽造品対策の活動に力を入れている。(高島里沙)  「YRR」「VKK」―。YKKのロゴに似せた偽造ファスナーの刻印の例だ。高級ブランドのカバンや財布そのものだけでなく、部材のファスナーにも悪質な偽造品が出回っている。安価に作られているため、塗料や加工など品質における安全面でのリスクが高い。例えばベビー服の場合、赤ちゃんが壊れたファスナーを飲み込んだり、ファスナーのバリによって首に傷がついたりするなどの健康被害が考えられる。  そこでYKKでは、5年前にNECの画像認識サービス「GAZIRU」を導入した。素材や部材の表面に自然発生する微細な紋様を認識して個体識別するため、製造工程における調達素材などの情報を個体管理できる。精度の高い個体認証や、個体認証より幅を持たせて傾向を読み取る金型レベルでの識別を提案する。  またYKKグループの専用機械を開発製造する工機部門でも、ファスナーの曲げ方や止め方などからYKKの機械によるものではない加工を判別できる。西﨑誠執行役員は「偽物の精度も上がる中でさまざまな技術を導入しながら対策を取っている」と話す。  2012年にYKKが立ち上げたブランド保護組織のB.P.P.(ブランド・プロテクション・パートナーシップ)は、当初アパレルメーカーなど9団体で発足したが今では67団体にまで広がった。アパレル関連からリユース、税関、経済産業省など幅広い業界が集まり、3月にはメルカリでワークショップが開催された。西﨑執行役員は「ブランドを守りたいとの思いは皆共通しているので今後も続けていきたい」という。  CツーC(消費者間)のアプリや会員制交流サイト(SNS)、越境電子商取引(EC)が拡大する中、個人による大量輸入も増えている。18年4月には、函館税関が香港から輸入された衣類を検査したところ、1着に4本の偽造ファスナーが付いた衣類400着を発見し、知的財産侵害物品として輸入を差し止めた。ブランド権利者は、模倣品の個人使用目的の輸入について制度改定を望んでいる。西﨑執行役員は「B.P.P.で変えていけたら」と強調する。  YKKでは、中国進出以降、偽造品による事業への影響が出始めた。80年代は知的財産部が担っていたが、現在は事業部主導で対策を取り、偽造品を発見した場合は真正品へ置き換えている。また税関に偽造品と真正品について説明し、理解を深めてもらう活動を進める。偽造品の精度も高まる中で、識別技術の提案など、時代に合わせて対応策を広げている。

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