漁業の収益力向上へ、相次ぐデジタル技術たちの挑戦

国内通信大手が各地で実証

魚市場に運ばれた魚の映像をAIが分析(イメージ)

 国内通信大手が漁業のデジタル化に乗り出す。東北大学とNTT東日本、東北地方の若手漁師で構成するフィッシャーマンジャパン(宮城県石巻市)は、水揚げした魚の種別や品質を人工知能(AI)が判別して自動仕分けする実証実験を今秋に宮城県内の漁港で始める。KDDIは三重県尾鷲市でスマートブイを用いた定置網漁の実証を始めた。最先端のデジタル技術を用いた魚や漁場の見える化により、人手不足や漁獲制限に悩む国内漁港の収益向上につなげる。  東北大やNTT東は実証の第1段階として、魚市場に運ばれた魚の映像から種類や大きさ、脂の乗りなどをAIが分析してデジタルデータ化。このデータを魚屋や、すし店などが閲覧できるようにする。需要と供給を的確にマッチングさせ、より高く魚を売れるようにする。  今後は、漁船から水揚げされた魚をベルトコンベヤーに乗せ、映像から魚の種類と大きさをAIが判定する。この情報を基にロボットアームが魚をつかんで魚種別のトレーに入れる自動仕分けも実証し、2020年度末までの実用化を目指す。  実証では、NTT東が20年3月までに仙台市に新設するAIシステム検証施設「スマートイノベーションラボ」を活用する。AI学習に必要なデータの高速処理が可能な専用サーバーやクラウドへの安全な接続環境など同ラボの設備を使い、AIを用いた魚の自動判別を瞬時に行えるようにする。  農林水産省によると、17年の漁業就業者数は08年比31%減の約15万3000人。高齢化も進んでいることから通信各社はスマート漁業の実証を相次ぎ行っている。NTT東は福島県郡山市でもコイ養殖場の水温や酸素濃度をセンサーで取得し、生産性を向上させる実証を始めた。  KDDI総合研究所は、居酒屋を運営するゲイト(東京都墨田区)と三重県尾鷲市でスマートブイを用いた実証を始めた。定置網漁場に設置したスマートブイによる水温測定や水中撮影で漁獲量を予測。漁師の勘や経験に頼っていた漁業の効率化を目指す。NTTドコモも宮城県松島湾のカキ養殖業者など向けにブイが測定した海水温をスマートフォンで閲覧できるシステムを提供している。

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