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新規の漁業就業者数は2000人、意欲ある担い手はどこに?

水産白書で課題を指摘
 農林水産省・水産庁がまとめた2018年度の「水産の動向(水産白書)」では、水産業に関する人材育成を特集した。新規漁業就業者数は微増だが、漁業就業者数全体では今後も減少傾向が続く。学校教育などの人材育成が重要であり、食品安全や環境などの幅広い教育を実践するとともに、将来像を描きやすくする工夫の必要性を指摘している。

 新規漁業就業者数は09年以降、2000人ほどで推移し、17年は前年比2・3%増の1971人だった。漁業就業者数全体は前年比4・1%減の15万3490人で、水産庁は28年に約3割減の10万2914人になると試算する。白書は意欲ある担い手の育成が水産物の安定供給のほか、地域活性化の視点から重要としている。

 全国の水産高校は46校で18年の生徒数は9831人。減少傾向にあるが、全高校生に占める割合は約0・3%と横ばいの状況だ。各水産高校では食品安全、環境のほかグローバル感覚など幅広い教育を実践している。ただ、水産専門教員の不足が懸念されており、白書は水産系大学との連携を通じた教員確保の必要性を指摘する。

 また水産系大学では17年度の就職内定者の34%が水産関連分野で、このうち水産加工流通分野が54%と最も多かった。加工流通業界ではマーケティングや商品開発などの業務を担える人材が求められており、こうしたビジネスに必要な能力を学ぶ機会の創出が水産系大学でも重要になると白書は主張する。

 水産高校や水産系大学とは別に、より実践的な技術や知識の教育を通じて即戦力となる漁業就業者を育成する「漁業学校」の設置も全国で進む。学生が技術習得できる環境づくりを国や自治体も支援していく構えだ。
                          
日刊工業新聞2019年6月3日

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