世界1位のゼロエネ住宅「政府より先に」で商機

【連載#6】脱炭素経営 パリ協定時代の成長戦略

積水ハウスは新築の7割がZEH(同社のZEH)

 「積水ハウスの家なら気温が3度C上昇しても大丈夫ですか」。積水ハウスの石田建一常務執行役員は講演で聴講者からこんな質問を受けた。気温上昇で多発する熱波や豪雨への備えを問われた。石田常務執行役員は「積水ハウスの家だけ残っても意味がない」と答えたという。自然災害が頻発すると景気が悪化し、家の購入者が減る。温暖化を放置すると将来、家が売れず同社の経営リスクになるため「社会を安定に保つため脱炭素に取り組む」と説明した。  実際、二酸化炭素(CO2)排出削減を主要テーマに家の開発を進めてきた。同社は2008年、CO2排出ゼロを目指す脱炭素を宣言し、09年には生活に伴うCO2排出量を半減する住宅を発売。13年にはエネルギー消費を実質ゼロにするゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を製品化した。  「政府よりも先にやってきた」(石田常務執行役員)と胸を張る。国は15年、30年までに家庭のCO2排出を約4割削減する目標を決め、20年には新築の半分以上をZEHに方針を出した。常に国の動きを先取りしてきた積水ハウスは販売する住宅の7割以上がZEHとなっている。  ZEHの累計販売3万5000棟は「世界1位」(同)となり、競争で優位に立てた。「誰かに言われる前に対応するのが戦略」と強調し、脱炭素と事業成長を結びつけた。再生可能エネルギー100%で事業運営をする企業連合「RE100」にも加盟した。  富士通も脱炭素で先行し、ビジネスチャンスの獲得を目指す。同社は17年春、50年にCO2ゼロを目指すと宣言し、18年7月にはRE100へ参加した。背景に取引先からの要請がある。  15年末のパリ協定採択後、富士通に再生エネの利用計画を質問してくる海外の取引先が増えた。要請に応えると取引で優位になる。「CO2削減の狙いを社内に伝えやすくなった」(環境企画統括部の青山信秀統括部長)ことで、宣言が実現した。  欧州拠点に続き、17年から北米2拠点も再生エネ電気で事業運営している。アップル、グーグルなど米ICT企業が再生エネを推進しており、富士通も現地で存在感を示せる。  商機もうかがう。同社が国内の再生エネ調達の課題を経験することで、その解決策となる技術を開発できる。社外にも外販し、事業成長につなげる。  環境エンジニアリング部の山崎誠也部長は「ICT企業ならではのソリューション提案がある」と自信をみせる。

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