重量変化で荷揚げ機昇降…トーヨーコーケンが商品化、アシスト装置の仕組み
速度自在、負荷を軽減
トーヨーコーケン(東京都江東区、渡辺一人社長)は、作業者の昇り降りの荷重変化を検知し、自動的に電動荷揚げ機(ホイスト)が昇降することで作業者の負荷を軽減する昇降アシスト装置を商品化した。作業者の体重に左右されず、昇る速度も自在に調整できる。消費税抜きの価格は100万円。初年度100台の販売を目指す。
商品化した「昇降力(しょうこうりき)」は、鉄道用架線金具などを製造する三和テッキ(東京都品川区)と共同で開発した。三和テッキは2021年から昇降力を展開し、電力・鉄道会社の送電線鉄塔の基礎施工現場向けに160台を納入している。トーヨーコーケンは今回、一般の工事現場や工場・プラント向けにも発売する。
アシスト方法は、まず無線送信機のバランスボタンを押すと、電動ホイストと作業員の体重を基準重量として記憶する。バランス状態で作業者がハシゴを昇ろうとすると、重量は軽くなるため、上昇として認識し、重量変化に応じた速度で巻き上げる。逆に降りようとすると、下降として認識し、巻き下げる仕組みだ。
アシスト力は無段階で調節でき、最大110キログラムまで設定可能。作業内容や作業者の好みの負荷に合わせて設定することで、ちょうど良い作業環境を提供する。専用の昇降レールなどは不要で、約16キログラムの本体を吊るすだけで使用できる。
高さが数十メートルにもなる送電線鉄塔の点検や基礎工事は、繰り返しの昇り降りや重い工具の上げ下げで作業員には大きな負担となる。近年は作業員の高齢化や減少が進んでおり、作業の負荷軽減が不可欠となっていた。
24日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する展示会「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」に出展する。
日刊工業新聞 2024年07月09日