大同メタルが船舶・発電機狙う、非自動車向け軸受拡大
大同メタル工業が非自動車用軸受事業の拡大に乗り出している。船舶や発電機で使用する中高速エンジン向け軸受を強化。生産能力を中期的に現状比2―5割増にする方向で検討に入った。船舶向けでは環境に配慮したエンジンへの仕様変更が想定され、発電機用ではデジタル技術の普及による電力需要増が期待できる。品質と信頼性の高さを中高速エンジンメーカーに訴求し、サプライヤー(供給元)としての地位を固める。
大同メタルは自動車向け滑り軸受を主力とする。ただ、車の電動化の進展により、中長期では同軸受を搭載するエンジン車が一定程度減少することが予測される。この減少分を補うのが舶用主機・補機や陸上発電機に使用される中高速エンジン向け滑り軸受だ。
現在、船舶向けは新造船需要が旺盛。メタノールやアンモニア、水素といった燃料への転換により、エンジン仕様の変更や性能要求への対応が求められている。また発電機向けはITの浸透や人工知能(AI)の活用、情報通信の普及でデータセンターなどの数や規模が大きくなり、使用する電力需要の増大も想定される。
これらの需要を取り込むため、大同メタルではサプライヤーとしての地位向上に取り組んでいる。その成果もあり、船舶やエネルギー関連事業を手がけるフィンランドのバルチラ(ヘルシンキ)からは「サプライヤーズ・アワード・2024」を初受賞した。日本や英国で同社向け製品を製造・供給するだけでなく、新材料や技術の提案、販売や研究開発拠点を英国に置くことも評価された。
今後はこうした評価を拡販につなげる方針。生産能力拡大も視野に入れ、需要に応じた供給体制を整備する。
日刊工業新聞 2024年07月08日