8年ぶり全面改良…開発責任者が明かすホンダ「フリード」新型に込めた思い
【電動事業開発本部 BEV開発センター 新型フリード開発責任者 安積悟氏】
3代目となる新型フリードはコンセプトを「“Smile”Just Right Mover―こころによゆう 笑顔の毎日―」とした。歴代の良さを継承しながら「ちょうどいい」を意識した。日常・非日常などカテゴリーにとらわれず、同乗する全ての人が安心・安全で快適に楽しく過ごせる。乗る人に「余裕」をもたらし、笑顔の毎日の一部となりたい。そうした思いを込めた。
「エアー」と「クロスター」の2タイプを設定した。エアーは日常の幅広い人の生活を支え、クロスターは非日常のワクワクするような、アクティブさを好む人の思いを実現する。それぞれの個性を明確化した。
「ちょうどいい」を具現化するため、歴代のボディーサイズ感を継承した。独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用しながら全長の影響を最小限にとどめた。扱いやすいボディーサイズとしつつ2列目席など後席の快適性、荷室の使い勝手を向上した。
車内で一体感が得られる工夫を施し、1列目から2列目、3列目の席まで円滑な移動や快適な空間づくりに取り組んだ。ウオークスルーがしやすく、後席の子どものケアがしやすい。2列目、3列目の席の視界を広げ、どの席でも景色が楽しめるよう開放感を高めた。
フリードは男性、女性、若い世代から子育てを終えたシニア世代まで多くのユーザーから支持を得ている。独自の個性を持ちながら、多くの人に受け入れられるデザインにするため、フリードの持つ個性をあらためて見つめ直し、表現する必要があると考えた。
エアーの外装デザインは安心感のある芯の通ったボディーと運転しやすい視界で誰でも気楽に扱え、クリーンで上質な印象で洗練されたデザインに仕上げており、誰でもどこでも似合う。3列目まで広い空間で快適で自由な空間に仕上げた。
クロスターではアクティブで活気のある生活の役に立ちたいという思いを込めた。エアーで作り上げたクリーン・上質さをベースに、力強さや大胆さを強調。質感の高いシルバー加飾で都会でも映えるモダンさも演出し、好奇心を後押しするデザインを目指した。
インストルメントパネル(インパネ)周りはシンプルな構成と操作性を追求。必要な機能のみを集約し優れた操作性を実現した。
安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全タイプに標準装備。機能の充実と制御の高度化で、シンプルな操作で安心して運転できる。
【記者の目/全面改良、顧客幅拡大に注目】
8年ぶりの全面改良となるフリードは、先代がモデル末期でも売れ続けるなどホンダの基盤を支える人気車種の一つ。事前予約で2万4000台の受注があり、期待は高い。新型ハイブリッドシステムの搭載など走りと環境性能を高め「エアー」「クロスター」という2本立てでコンセプトを明確にした。顧客の幅を広げられるかに注目だ。(編集委員・村上毅)
◇フリード e:HEV エアー
全長×全幅=4310×1695mm
全高=FF車1755mm、4WD車1780mm
車両重量=1460―1560kg
乗車定員=6―7人
エンジン=総排気量1496cc、直列4気筒
最高出力=エンジン106馬力、モーター123馬力
変速機=電気式無段変速機
WLTCモード燃費=1ℓ当たり21・2―25・6km
価格=285万7800円から(消費税込み)
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