横浜国大が開発、ロール・ツー・ロール方式で伸びる電子デバイス
横浜国立大学の長竹恭平大学院生と太田裕貴准教授らは、伸びる電子デバイスの基板をロール・ツー・ロールで製造する技術を開発した。伸縮材料の上に硬いエポキシ樹脂を塗工して変形する部分としない部分を作り分ける。集積回路(IC)や発光ダイオード(LED)などの固体素子を実装しても破断しない。伸縮デバイスの量産に提案していく。
伸縮材料のエコフレックス上に硬層としてエポキシ樹脂を塗布する。中間層としてシリコーン樹脂のPDMSを挟むことで伸縮層と硬層の密着性が向上した。これをロール・ツー・ロールで実現した。
さらに伸縮部位にはガリウム・インジウムスズ合金の液体金属で配線した。液体金属は曲げ伸ばしに追従でき電気抵抗がほぼ変わらない。実験ではICやLED、電池を実装したデバイスを1・7倍に伸ばしても機能を維持した。全体を1・7倍に伸ばすと伸縮部が2倍以上伸びる。固体素子が載る硬い部分の変形は0%だった。
研究室では400平方センチメートルのプロセスを構築したが、企業は大規模に拡張できる。ロール・ツー・ロールは生産性が高く量産に向く。ウエアラブルデバイスの製造などに提案していく。
日刊工業新聞 2024年6月27日