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有機半導体への電子ドーピング100倍安定化、東大が新手法を開発した意義

有機半導体への電子ドーピング100倍安定化、東大が新手法を開発した意義

開発した電子ドーピング手法。還元剤からの電子とともに、様々な分子性カチオンを導入する(東京大学提供)

東京大学の渡辺峻一郎准教授と物質・材料研究機構の山下侑主任研究員らは、有機半導体への電子ドーピングを100倍安定化させる手法を開発した。電子を与える還元剤とプラス電荷を持つ分子性カチオンを同時に加える。反応後の還元剤と分子性カチオンが入れ替わり安定化する。印刷などの簡便な製造プロセスで電子デバイスを作りやすくなる。

還元剤のコバルトセンと分子性カチオンのdMesIM+を組み合わせた。コバルトセンが有機半導体に電子を与えると、コバルトセン由来カチオンと有機半導体のアニオンがペアを作る。だがコバルトセンが不安定だった。dMesIM+が存在すると、コバルトセン由来カチオンとdMesIM+が自然と入れ替わり定着する。

光吸収で電子ドーピング量を評価すると、大気下で20時間後も半分のドーピング量を維持できた。寿命は100倍延びた。劣化の原因となる水分子が付きにくくなったことや有機分子が分子レベルで整列したことが改善要因とみられる。

有力な電子ドーピング手法として幅広い有機半導体に提案していく。


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日刊工業新聞 2024年05月24日

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