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電力・鉄道・空調・FA機器などから集約・分析…三菱電機がデータ新事業

三菱電機は29日、全社的なデジタル共通基盤「Serendie(セレンディ)」を立ち上げたと発表した。電力や鉄道、空調、工場自動化(FA)機器などの製品から得たデータを集約・分析し、ソリューションの創出を目指す。2030年度に関連事業の売上高を1兆1000億円(23年度実績6400億円)、営業利益率23%(同16%)まで拡大する目標を掲げる。

デジタル基盤「セレンディ」関連事業の収益

三菱電機は従来、機器やシステムから生み出すデータを各プラットフォーム(基盤)によって収集していた。ただ、脱炭素など既存の事業領域を横断したソリューションサービスの提供が求められている中、全社的なデジタル基盤を構築し、提案力を強化することを決めた。列車運行や電力最適化などの鉄道向けソリューションや、ビルと空調、電力を組み合わせたスマートビルソリューションの提供などを想定する。

29日の経営戦略説明会で漆間啓社長は「事業本部それぞれの事業をしっかりと連携しながら進め、我々の新しいビジネスを構築する」と意気込んだ。

デジタル共通基盤の構築では日立製作所が先行する。三菱電機はデジタル変革(DX)人材の育成・採用を大幅に強化する方針を打ち出しており、30年度に現在の約3倍になる2万人にまで増強することで競争力を高めていく。

一方、重点事業に位置付けるパワー半導体について、26年3月期の売上高を従来計画比200億円増の2600億円以上に修正することも同日公表した。車載や再生可能エネルギー向けの需要が堅調な点を踏まえた。また、熊本県菊池市に建設中の炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の工場新棟の竣工を前倒しし、25年9月にすることも発表した。


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日刊工業新聞 2024年5月30日

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