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計画発表1年も延期のまま…日野と三菱ふそうの統合の行方は?、業界から困惑の声

計画発表1年も延期のまま…日野と三菱ふそうの統合の行方は?、業界から困惑の声

当初は今年末に統合を完了する予定だった(23年10-12月に開かれたジャパンモビリティショーの日野自〈手前〉と三菱ふそう〈奥〉ブース)

2023年5月に日野自動車三菱ふそうトラック・バスが経営統合計画を発表し、30日で1年が経過した。24年3月までに最終契約を結び、24年末に統合を完了する予定だったが、期限を設けず延期したままだ。延期の背景にあるのは競争法の許認可取得と、日野自のエンジン認証不正に伴う米司法省の調査とされる。ただ、業界関係者からは「競争法は2年以上かかる話ではないのではないか。元々分かっていて期限まで決めて統合発表したはず」と困惑する声も上がる。(大原佑美子)

日野自・三菱ふそう経営統合計画発表からの主な動き

両社の親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラー・トラックを含めた4社は2月、日野自と三菱ふそうの統合計画の無期限の延期を発表した。日野自は4月の決算発表で、25年3月期連結業績予想の当期損益について、米司法省の調査継続などで潜在債務を算定できないことを理由に未定とした。日野自の小木曽聡社長は決算会見で「合理的な判断の材料がないと(統合は)難しいと思う」と吐露した。

4社の協業を発表した23年5月の会見では、脱炭素社会に向けた水素活用などでの連携が打ち出されたが、業界関係者は「ダイムラー・トラック側のモチベーションは下がってきていると聞く」と漏らす。「現時点で米司法省の罰金の“ケタ”が分からない。何千億円単位などと高額になるとダイムラー・トラック側の株主に説明できない」(業界関係者)と指摘する。

ダイムラー・トラックからトヨタに持ちかけた今回の提携劇。ダイムラー・トラックの狙いとして、トヨタの燃料電池(FC)システムが本命との見方もあったが、ここにきて「ダイムラーなら(日野自・三菱ふそうの統合など)わざわざそんな選択をしなくても良いのでは」(業界関係者)との声も上がる。

一方のトヨタ側はどうか。23年5月の会見で佐藤恒治社長は「商用ビジネスについて、我々が日野自を支えるのには限界がある」と説明。乗用車・商用車事業のシナジーを出すことの難しさを示し、一定の距離を置く選択をした。日野自は23年4月に、電動車の企画などで協力関係にあった独フォルクスワーゲン(VW)グループの独トレイトンとの協業を解消。ダイムラー・トラック、三菱ふそうとの連携の発表は、その約1カ月後のことだった。

東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは「(統合が)うまくいかない可能性が半分くらい出てきた」と予測する。統合新会社は上場する予定だが、日野自の業績予想が不透明なままでは将来の予測を立てられず、企業経営の健全性などが条件となる上場の条件も満たせない。杉浦シニアアナリストは「ダイムラーがしびれを切らすか、予定やスキームを変えて仕切り直すか」といった可能性も示唆する。

自動運転やパワートレーン(駆動装置)の選択肢の拡充など、商用車を取り巻く課題を解決するための開発を迅速に進めるには一定の事業規模が必要で、協業の利点はある。だが、協業に向けた目立ったアクションが見えず、ここ1年の日野自の株価も低迷したままだ。6月26日に予定される日野自の株主総会などの場で、ステークホルダー(利害関係者)への説明責任が果たされるかが注目される。

日刊工業新聞 2024年月5月30日

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