日野自・三菱ふそう統合、追求する「水素の未来」「国際競争力」
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは30日、2024年末をめどに経営統合すると発表した。日野自の親会社であるトヨタ自動車と、三菱ふそうの親会社である独ダイムラートラックを含めた4社で同日付で基本合意書を結んだ。統合で規模のメリットを追求。日本や東南アジアで存在感を高める一方、水素など新たな技術へのリソースを確保し、国際競争力のある商用車メーカーを目指す。
24年3月に最終契約を締結予定で同12月末の統合を目指す。統合比率は4社で協議する。ダイムラートラックとトヨタが同割合で出資する持ち株会社の完全子会社として日野自と三菱ふそうがぶら下がる。統合会社は上場することを想定。一般株主や三菱グループからの出資も予定する。
30日都内で開いた会見でトヨタ自動車の佐藤恒治社長は、商用車のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)技術の普及など話し合いを重ね、4社の連携で世界的規模での競争力強化のスキームにたどり着いた」と経緯を明かした。ダイムラートラックのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)も「自動車の未来は水素だ。同技術でトヨタと協力し、水素を促進する」と意気込んだ。
トラックなど商用車を取り巻く環境は世界的な脱炭素機運の高まりで急速に変化。三菱ふそうのカール・デッペン社長は「技術開発に多大な投資や知見が必要。顧客に価値提供し続けるためには単独ではできない。規模が必要だ」と強調。東南アジア地域では販売・サービス網でも補完関係が期待できる。日野自の小木曽聡社長は「4社で枠組みをつくり、社会に貢献していきたい」とした。
日野自と三菱ふそうが経営統合で基本合意したことに関連し、記者団の取材に応じた西村康稔経済産業相は「グローバルな競争力を高めて国際市場で大きな存在感を持つことを期待する」と話した。