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「トラック販売」24年はどうなる?いすゞ・三菱ふそう・日野自…経営陣らの見方

トラック業界関係者がまとめた2023年の普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)の販売台数は、前年比19・0%増の6万6499台となり、4年ぶりに前年実績を上回った。コロナ禍の影響がなくなり、半導体不足の解消が進んだことで車両供給が回復した。ただ、架装メーカーの生産能力が追い付かず納期が長期化していることや、日野自動車のエンジン認証不正問題の影響が残り、コロナ禍前の19年の約9万3000台に対して約7割の水準にとどまった。

メーカー別では日野自を除く3社が前年実績を上回った。いすゞ自動車は前年比38・0%増、三菱ふそうトラック・バスは同38・4%増と大幅に販売を伸ばした。

今年の見通し-「24年問題」など対応力問われる

24年の見通しについて、いすゞの中村治執行役員営業部門シニア・バイス・プレジデント(SVP)は「過去の生産制約の受注残がまだあることに加え、日野自も(認証取り消しで出荷停止のエンジンがある状態から)戻ってくる。こうした事象が正常化してくれば潜在ニーズは悪くない」とみる。

三菱ふそうの林春樹副社長も「新車の登録台数は右肩上がり。(車両を買い換える)代替需要もしっかりとある」と状況を説明。長納期化については「サプライチェーン(供給網)で連携を取り、上期に解消できたら」(林三菱ふそう副社長)との認識を示す。

不正の影響が残る日野自の小木曽聡社長は「(出荷停止のエンジンなど)顧客にお待ちいただいており、少しでも早くお届けできるように皆で努力する。信頼回復の活動を続けつつ、より良い商品とサービスをお届けする歩みを続ける」としている。

24年は運転手の時間外労働規制強化によって輸送能力が不足する「物流の24年問題」に加え、日野自と三菱ふそうの経営統合も予定されるなど業界にとって大きな節目を迎える。あらゆる課題に対応しながら需要を満たしていけるか、各社の力が問われる。

日刊工業新聞 2024年01月11日

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