売上高2000億円規模へ…キリンHDが「ヘルスサイエンス」を次の柱に
キリンホールディングス(HD)は2025年度から3カ年の次期中期経営計画で、健康食品事業の豪ブラックモアズをけん引役にヘルスサイエンス事業を24年度見込み比約36%の2000億円規模に引き上げる。ブラックモアズの24年度売上高で674億円を見込み、販路拡大などで30年に向け1000億円規模に増強する。協和発酵バイオ(KHB)の構造改革を推進し25年度以降の黒字化を確実に進めることなどで、ヘルスサイエンス事業の自立を目指す。
キリンHDはビール・飲料と医薬の主力事業に加え、ヘルスサイエンスを新たな経営の柱に育成する。次期中計でも同事業の自立が大きなテーマとなる。27年の最終年度に売上高で2000億円規模、事業利益15%程度が目標となりそうだ。
24年度から事業セグメントで飲料事業と重複していたプラズマ乳酸菌飲料分を消去し、売上高は1468億円を見込む。うちブラックモアズは674億円、KHBは589億円を占める。ただKHBの赤字が残るなど約26億円の事業赤字を想定する。
25年度以降はブラックモアズの収益拡大を目指す。オセアニアや中国、東南アジアで、健康食品をタブレット形態中心に展開。これ以外の剤型・パッケージを拡充するほか、キリンの免疫ケア素材「プラズマ乳酸菌」などを追加。販売エリアでもアジアで残る空白地域を埋めるなど販路拡大を進めて、「30年に向け1000億円規模を目指す」(南方健志社長)方針だ。
併せてKHBの黒字化に向け構造改革を加速する。コモディティー(汎用品)化が懸案だったアミノ酸事業を縮小・海外移管し、プラズマ乳酸菌などのスペシャリティー素材に集中することで、「25年度には黒字化を達成できる」(同)とする。また、ヘルスサイエンスと飲料の両事業にまたがるプラズマ乳酸菌の販売は27年度に2倍程度の500億円に引き上げる方針だ。次期中計の最終年度にヘルスサイエンス事業を2000億円規模として自立させ、さらに長期構想の中で5000億円規模のグループの中核事業を担うことになりそうだ。