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コロナ禍の赤字転落で中計再策定したサッポロHD、ROE8%達成への道筋

食品飲料など弱点克服で効率化

サッポロホールディングス(HD)は2023―26年の中期経営計画を策定し、自己資本利益率(ROE)を現在の3・1%から8%に引き上げることを目指している。低収益の食品飲料事業や外食事業の構造改革を進め、海外事業を拡大。従来の中計では売上高や事業利益など損益決算書(PL)上の数値を目標にしていたが、今回は貸借対照表(BS)を指標に、経営体質を改善しながら業績回復を図りたい考えだ。

サッポロHDは20年から24年を最終年度とした中計を進めていたが、スタートと同時に新型コロナウイルス感染拡大などで業績が悪化。20年12月期の最終赤字転落を受け、中計を再策定した。

中計の骨子を大きく変化させた背景には、シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズによる、社外取締役への働きかけがある。3Dは中計の公表を前に、サッポロHDの社外取締役宛てに書簡を送り、従来から指摘していたROEの改善を含めた抜本的な経営改革や機関投資家との面談などを要望。尾賀真城社長は中計について「経営効率を高めることを意識した」と述べ、3Dの指摘を強く意識した内容であることを伺わせた。

サッポロHDのROEは、20年12月期に大きくマイナスとなり、21年12月期は恵比寿ファーストスクエアの売却により好転しているものの、直近10年の平均は3・3%。3Dは同業であるビール大手のアサヒグループホールディングスの11%やキリンホールディングスの14%と比較し、問題視していた。

具体的には酒類事業で高付加価値化を進め、26年の事業利益で約50億円増益効果を見込むほか、海外酒類事業を拡大。一方、低収益の食品飲料事業で24年までに商品の削減などを進め、マイナスに陥っている事業利益率を26年に3・8%に引き上げ、約20億円の増益効果を創出し、目標達成を目指す。サッポロHDは今後4年間で強みを伸ばし、弱点を克服しながら、経営の効率化を進める。

日刊工業新聞 2022年11月24日

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