超高齢社会の課題解決、ドコモが新サービス
NTTドコモは専用端末を高齢者の自宅のテレビに接続することで、離れて暮らす子どもが親の在宅状況をスマートフォンアプリケーションから確認できるサービス「ちかく」を4月中旬以降に発売する。コロナ禍を経て独り暮らしの親に対する不安を改めて感じる子ども世代がいる一方、見守りサービスに抵抗感を持つ親も多い。カメラを意識しにくい家型の専用端末を通じ、お互いの距離を身近に感じながらも程よい距離感を保てる“デジタル近居サービス”を提供する。
専用端末に内蔵したカメラの撮影映像をすべて伝送するのではなく、同端末を設置した部屋に親が在室しているかどうかを人工知能(AI)で検知し、在室の有無に関する情報を子側に送ることでプライバシーに配慮した。同端末の大きさは幅80ミリ×奥行き95ミリ×高さ64ミリメートル。価格は3万円程度を予定。別途、月額料金1980円(消費税込み)がかかる。
親側は専用端末を自宅のテレビに接続することにより、大画面でテレビ電話を楽しめる。使い慣れたテレビとリモコンで操作可能。SIM(加入者識別モジュール)を端末に内蔵しているため、Wi―Fi(ワイファイ)設置やインターネットの工事をすることなく、第4世代通信(4G)を用いてすぐに利用可能だ。
一方、子ども側は、親の在室状況をアプリ上に表示される家の窓に明かりがついているかどうかで気軽に確認可能。そのままアプリを通じてテレビ電話をかけたり、その会話中にスマホ内の写真を共有したりできる。
アプリ上で「あんしんモード」をオンにすれば、親の起床や就寝、在室履歴など生活リズムの変化が分かる機能を使える。事前に設定した時刻を過ぎても親の起床が確認できない場合にアプリに通知が届く機能、異変を感じた際は親の操作なしにテレビを設置している部屋の様子を確認できる機能も用意した。
ドコモは2023年5月に高齢者向け情報通信技術(ICT)サービスでチカク(東京都渋谷区)と業務提携した。ドコモの藤本和彦クリエーションマーケティング担当主査は今回の新サービスについて「両社の提携に基づく共創プロジェクトの第1弾だ」と話す。
40年には独り暮らしの高齢者世帯が約900万世帯に達するとの予測もある。超高齢社会における社会課題の解決に向けた革新的なサービスを今後も生み出す考えだ。(編集委員・水嶋真人)(火曜日に掲載)