大王製紙は黒字転換・日本製紙と三菱製紙は赤字…製紙メーカー6社の4-12月期全容
製紙6社の2023年4―12月期連結決算は、当期損益が王子ホールディングス(HD)とレンゴー、北越コーポレーションが増益、大王製紙が黒字転換し、日本製紙と三菱製紙が赤字だった。総じて経費削減意識の高まりで需要が低迷するも、製品値上げが浸透し高水準だった原燃料価格も落ち着いた。ただ中国や欧州の経済減速や海外パルプ市況悪化、一部では設備不調が響いた。堅調な分野で苦境をいかにカバーできるかで今後も業績がバラつきそうだ。
23年4―12月期の営業損益は6社のうち、日本製紙と大王製紙、三菱製紙が黒字化。レンゴーが前年同期比81・0%増、北越コーポが同13・4%増と伸びた一方、王子HDが同5・3%減だった。
王子HDはニュージーランド工場のサイクロン被害による稼働率低下やパルプ市況の悪化が響いた。原燃料価格の営業利益への悪影響はあったが、為替要因を差し引くと前年同期比で約5億円のプラス。当期利益は未利用地売却などで特別利益を計上し増益だった。
大王製紙は価格改定が浸透し、国内では販売金額が前年同期を上回った。生産体制の最適化や省力化なども推進した。セグメント利益は紙・板紙事業が黒字転換し、家庭・個人向け事業は中国の収益悪化影響で赤字だった。
三菱製紙と日本製紙は価格修正やコスト低減で営業黒字に転換したものの、いずれも特損計上で当期赤字となった。
三菱製紙は青森県八戸市の工場で発生したボイラ事故の関連損失、ドイツ工場での事業再構築費を特損計上した。一方の日本製紙は豪州子会社の印刷・情報用紙事業撤退にかかる特別退職金などで特損を計上。24年3月期は海外事業の需要回復などに手間取り、営業損益を従来予想比50億円減の190億円の黒字(前期は268億円の赤字)、経常損益は同30億円減の同150億円の黒字(同245億円の赤字)に修正した。
増収増益のレンゴーは年間配当を従来予想比6円増の1株30円とする。内訳は普通配当が27円、創業115周年の記念配当が3円。