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ビールに“追い風”…大手4社がそろって営業増益へ、決算見通しの全容

ビールに“追い風”…大手4社がそろって営業増益へ、決算見通しの全容

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ビール・飲料大手4社の2024年12月期連結決算(国際会計基準)の見通しは、全社が増収営業増益を見込む。国内はコロナ禍の収束に伴い、底堅い需要が期待できる。ビール市場では23年10月の酒税改正でビールカテゴリーに追い風が吹き、各社ともにシフトを強める。合わせて海外事業を成長ドライブとして強化する姿勢も打ち出している。

「ビール事業では主力『ザ・プレミアム・モルツ』と23年に投入した『サントリー生ビール』が大きくけん引してくれた」。新浪剛史サントリーホールディングス(HD)社長は強調し、24年度も引き続きビールカテゴリーを中心に事業拡大を狙う。

ビール事業に注力する姿勢は各社同様だ。キリンHDもビール事業でビールカテゴリーでは17年ぶりとなる新ブランドの発売を決めている。また、主力ビール「黒ラベル」が好調なサッポロHDもプレミアムブランド「ヱビス」を拡販。発祥の地である東京・恵比寿に35年ぶりに醸造設備を伴う体験施設を4月に開設する。

また、各社が海外事業の強化を打ち出している。アサヒグループHDはグローバル5ブランドのプレミアム戦略を推進。「スーパードライ」では米国での現地生産を進める。﨑田薫取締役最高財務責任者(CFO)は「手の届く贅沢として質の高い商品ニーズが続くのが長期トレンド」と指摘する。サッポロHDも傘下の米ストーン・ブリューイングでサッポロブランドの現地生産化を開始する。サントリーHDはRTD(ふたを開けてそのまま飲めるアルコール飲料)「マイナス196℃」の販売エリアを米21州に拡大するほか、欧州や東南アジアに展開すると発表した。

キリンHDはヘルスサイエンス(健康)事業での海外展開を加速する。買収した豪州の健康食品大手のブラックモアズを足掛かりに、独自健康素材を拡販する。

各社がともに国内外での増収を見込み、原材料費や物流費などの上昇圧力を押さえ込む効果を期待する。

日刊工業新聞 2024年02月19日

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