デンソー・アイシン…トヨタグループ7社は業績好調も、品質問題が落とす影
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の業績が好調に推移している。ただ、グループの品質問題が売上高や各利益段階の押し下げ要因となるなど、上向き傾向にあった業績に影を落とす。2023年4―12月期の営業利益段階で、デンソーは燃料ポンプの不具合に関わる品質改善費1930億円を計上。同様にアイシンも米国のエアバッグ向けセンサーの不具合改善で630億円の費用を計上した。品質を高め、顧客の安心や信頼を取り戻す。
主要顧客であるトヨタの生産が日本や北米で順調なほか為替の円安効果もあり、各社の業績は高水準にある。23年4―12月期は7社全てが増収となり、デンソーを除く6社が当期増益だった。豊田自動織機、トヨタ紡織、豊田合成の3社が売上高と各利益段階で過去最高を更新。デンソーとアイシン、ジェイテクト、愛知製鋼は売上高が過去最高だった。
豊田合成は24年3月期連結業績予想の売上高と各利益段階を上方修正した。一方、デンソーは通期の売上高を上方修正したが、品質関連費用の計上で各利益段階を下方修正。アイシンも同様の理由で各利益段階を下方修正した。愛知製鋼は建設機械や工作機械向け特殊鋼の需要が弱く、売上高のみ下方修正した。
デンソーの松井靖副社長は「品質こそがデンソーの根幹。原点に立ち戻る」と決意を表明。アイシンの伊藤慎太郎副社長も「認証や品質に限らず現場の困りごとを聞き、点検と風土改革の両輪で改善を進めている」と話す。
各社の収益面での懸念事項の一つが、23年12月に認証試験の追加不正が明らかになったダイハツ工業向け事業。デンソーの松井副社長は「売上高で23年12月に20億―30億円減、24年1―3月期は170億円減を見込む」とした。トヨタ紡織の岩森俊一取締役執行役員は「3月末まで生産が停止した場合、売上高で30億―40億円減の影響がある」と話す。豊田合成や愛知製鋼では営業利益段階で数億円減の影響が出る見込みだ。
1月29日にエンジン認証の新たな不正が発覚した豊田自動織機向け事業の影響については、各社ともに「見えていないところがある。正常に戻ることを期待する」(伊藤アイシン副社長)とした。
もう一つの懸念事項となるのがアジア地域の動向。中国では景気鈍化の一方で電気自動車(EV)市場が急速に広がっている。ジェイテクトの神谷和幸最高財務責任者(CFO)は「タイも同様。下振れリスクとしてみている」と語る。
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