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「ららぽーと」「イオンモール」出店…三河地方に大型ショッピングモール続々のワケ

「ららぽーと」「イオンモール」出店…三河地方に大型ショッピングモール続々のワケ

名鉄が東岡崎駅南口に建設する3階建ての商業ビルのイメージ

愛知県東部の三河地方で大型ショッピングセンターが相次いでオープンする。三井不動産は2025年に岡崎市と安城市にアウトレットモールと「ららぽーと」の出店を計画し、岡崎市中心部の駅ビルには名古屋鉄道が商業施設をオープンする。すでに今春、豊川市では「イオンモール」が出店し、東三河最大級の集客力を誇っている。「マーケットとして魅力ある」(三井不動産)という三河地方は今、商業施設各社がしのぎを削る激戦区になっている。(名古屋・星川博樹)

三河地方の大型ショッピングセンター

三河地方は豊田、岡崎、刈谷、安城市などからなる西三河と豊橋、豊川市を中心とする東三河に分けられる。西三河は言わずと知れた自動車産業の集積地。トヨタ自動車デンソー豊田自動織機などトヨタグループが軒を連ね、さらには三菱自動車の工場もある。昨今は円安に拍車がかかり、大手各社の業績は上向き。それに伴い、関連社員の年収も増加傾向にある。大手各社が相次いで出店する背景には三河の消費者の購買力がある。

三井不動産が現在、岡崎市東部の舞木町周辺に開発しているアウトレットモールは25年秋のオープンが見込まれている。敷地面積は15万平方メートル余り。施設の延べ床面積は約7万平方メートル。駐車場は2050台を計画している。大型のアウトレットモールは周辺では三重県桑名市や岐阜県土岐市にあるが、愛知県では初となるため地元の注目度は高い。高速道路のインターチェンジからも近く、岡崎市関係者からは「市外からの来場で地域活性化が見込まれる」と期待を寄せている。

三井不動産が安城市で10月に着工した「三井ショッピングパーク ららぽーと安城」(仮称)は25年春のオープン予定。店舗面積6万平方メートルに220店舗が入居する。駐車台数は約3500台を確保する。岡崎市郊外のアウトレットモールに対して、こちらは市の中心部。半径5キロ―10キロメートルの同一商圏にライバル店が少ないのが出店の魅力だ。

三井不動産は東海3県でアウトレットパーク「ジャズドリーム長島」、ららぽーとは「名古屋みなとアクルス」「愛知東郷」を相次ぎオープンし、攻勢を強めているところだ。

三井不動産が建設を進めている岡崎市のアウトレットモール予定地

地元企業では名古屋鉄道が岡崎市とともに西三河のターミナルとも言われる東岡崎駅の再開発に着手した。北口に8階建て、南口に3階建ての商業ビルを建設。南口では24年春に「ミュープラット東岡崎」が15店舗とともにオープンする。北口は延べ床面積1万3000平方メートルで商業施設、オフィスが入居し、名古屋鉄道沿線からの集客を見込み、29年度の開業を目指している。

西三河の人口は現在161万人。過去20年で16万人増加した。人口減を迎える今後も当面は150万人を維持するとの推計がある。自動車産業、将来のモビリティー産業が堅調のうちは中部日本屈指の商業エリアとして小売り事業者を引きつけそうだ。

日刊工業新聞 2023年11月16日

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