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キヤノン・リコー…全社増収見通しのOA5社、プリンターの価格競争が再発

事務機器(OA)5社の2024年3月期(キヤノンは23年12月期)連結業績予想は、全社が増収を見込む。短期的には複合機が底堅く、IT関連商材も堅調に推移する。ただ営業損益は増益が2社、減益が2社、黒字転換が1社。OA需要の鈍化とともに、部品不足の解消に伴う製品供給量の回復でプリンターの価格競争が再発している。中長期の印刷需要は緩やかな減少が見込まれる中、各社は事業の多角化を加速できるかが試される。

OA5社

中国経済の減速や欧米でのインフレ影響などを受け、足元のOA需要は鈍い。そのような中で通期に前期比2ケタの営業増益を見込んでいるのがキヤノンと富士フイルムビジネスイノベーション(BI)だ。

キヤノンはレーザープリンターを中心とする中国市場の減速による影響や、半導体露光装置などの顧客都合による納期後ろ倒しを考慮し、23年12月期売上高を7月公表比1430億円減の4兆2200億円に下方修正した。ただ部品代や物流費の低下、為替の円安傾向を勘案し営業利益は前期比13・2%増の4000億円と予想する。

富士フイルムBIは欧米向けOA機器の輸出が減少したことを踏まえて24年3月期の売上高を8月公表比50億円減の8400億円に引き下げた。ただデジタル変革(DX)関連や自治体向けソリューションの売り上げは好調に推移しており、複合機の販売の落ち込み分を補う。営業利益は前期比12・2%増の780億円を見込む。

一方、リコーセイコーエプソンは24年3月期に前期比2ケタの営業減益を予想する。リコーはオフィスサービス事業については国内外で好調に推移するものの、複合機需要の落ち込みに伴い、24年3月期の営業利益を前期比11・1%減の700億円と見込む。23年4―9月期は、複合機の販売台数の回復が見立てを下回ったため、市場の在庫調整を優先して生産台数が減少し営業減益だった。

セイコーエプソンは24年3月期の営業利益を前期比17・6%減の800億円と見通す。中国経済の減速などに伴う在庫過多の影響を踏まえてインクジェットプリンターの販売台数を7月公表時から引き下げた。「価格を極端に落として需要を喚起するつもりはない。競争環境に応じて対応する」(小川恭範社長)。

業績低迷が続くコニカミノルタは事業の選択と集中を進めており、24年3月期に営業損益の黒字転換を見込む。半導体製造装置用の光学機器事業といった高付加価値領域に注力していく方針だ。需要減少を見込む複合機について大幸利充社長は「値下げしないように伝えている。プリントボリュームは下がるため、無理に受注してもトナーで回復できるという考え方は期待できない」と語る。

OA業界では需要の低迷や供給量の回復を要因に価格競争が再発するフェーズに変化しているが、各社は値下げを前面に押し出した需要喚起には難色を示す。ペーパーレスの潮流で中長期の印刷需要は縮小が見込まれる中、DX関連商材の拡販などで収益源の多様化を加速できるかが、あらためて問われる。

日刊工業新聞 2023年11月14日

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