ニュースイッチ

「ランクル250」から…トヨタが世界初、自社回収ペットボトルをシートに再生

「ランクル250」から…トヨタが世界初、自社回収ペットボトルをシートに再生

シート表皮に自社回収のペットボトルを活用したランクル250のシート

トヨタ自動車は自社で回収したペットボトルを自動車用シート表皮に再利用する取り組みを始めた。社員が廃棄した空のペットボトルを粉砕、糸状にしてシート表皮にする資源循環の仕組みをリサイクル事業者や内装部品メーカーと構築した。石油由来の化学繊維を一部代替し、二酸化炭素(CO2)排出削減につなげる。

トヨタによると、他の自動車メーカーでも廃棄ペットボトルをシートに再利用する取り組みはあるが、自社で回収したペットボトルを自社製品に生まれ変わらせるのは世界初という。

まず2024年前半に発売予定のスポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー(ランクル)250」のシート表皮に活用。他の車種にも拡大するため、トヨタグループ各社にボトル回収の協力を要請する。

ランクル250の量産シートに利用するペットボトルは23年4月に回収を開始。一つのシートにつき容量500ミリリットルのペットボトル3本を使用する。ランクルのシートは7脚あり、ペットボトル21本で1台分となる。

シート表皮には石油由来のプラスチックも使用しているが、回収したペットボトルからできた糸を織り込むことで、従来製品比約10%のCO2削減効果が見込める。

トヨタでは社員がペットボトルを洗浄し、分別する

同社社員が廃棄するペットボトルは1日当たり1万本以上。22年9月から愛知県豊田市の本社エリアでペットボトルの回収を始めた。具体的にはオフィス内の自動販売機周辺に回収ボックスを設置。従業員一人ひとりがラベルやキャップを取り外し、内部を洗浄してから回収ボックスに投入する。

従業員の理解を促進するため、啓発ポスターなども作成した。本社エリアに加え、元町工場(愛知県豊田市)や田原工場(同田原市)などの車両工場や研究所、テストコースにも活動を広げている。


【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
【関連記事】 トヨタグループも頼りにする異能の変革集団
日刊工業新聞 2023年09月29日

編集部のおすすめ