豊田自動織機・トヨタ紡織…トヨタグループ、人件費じわり上昇
トヨタ自動車グループの大手部品メーカーで、人件費の上昇が目立ってきた。豊田自動織機やトヨタ紡織などの2023年4―6月期連結決算では、労務費による営業利益の押し下げ額が前年同期に比べて拡大。コロナ禍前と比較しても全体的に負担増が目立つ。国内での賃上げのほか、北米を中心としたインフレに伴う人件費高騰への対応とみられる。今後は自動化など各社の生産効率化対応が加速しそうだ。
人件費による営業利益へのマイナス影響を公表している各社の23年4―6月期決算資料によると、豊田自動織機は前年同期比1・9倍の105億円、トヨタ紡織は昇級と労務費の合計で1・6倍の35億円、豊田合成は間接労務費として16億円(前年同期は労務費として4億円)の押し下げ要因だった。地域別の影響を公表しているトヨタ紡織と豊田合成では、日本と米州が半分以上を占めている。
自動車販売の回復に伴い生産が増えており、人件費は上昇傾向にある。生産が好調だったコロナ禍前と比べても、その額は広がっている。例えば豊田自動織機は19年4―6月期の人件費影響額が15億円で、トヨタ紡織や豊田合成も10億―20億円程度にとどまる。
またデンソーは23年4―6月期は人への投資が前年同期比で70億円の押し下げ要因だったが、労務費は同10億円改善した。一方で18年4―6月期、19年4―6月期の労務費負担は50億円程度。人への投資分と合わせると、人件費の増加傾向がうかがえる。
国内では23年春闘の賃上げ率が30年ぶりの高水準となる3・58%になるなど、賃上げが活発化。加えて世界的なインフレも続いている。各社はコロナ禍を契機に、原価改善活動の徹底や損益分岐点の引き下げなどを実施。特に人手不足が深刻化している北米では、事業再編や自動化投資などを積極化し、収益基盤の強化を加速している。
こうした状況は今後も続きそうで、事業の効率化の動きが強まるとみられる。
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