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トヨタ系中堅部品メーカー、全社増収見込むも「楽観視できない」理由

トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が26日発表した2024年3月期連結業績予想は、全社が増収の見通しで、営業損益も増益または黒字転換を見込む。東海理化は売上高で、愛三工業は売上高と営業、当期利益で過去最高を予想する。半導体不足が解消傾向にあり、主要客先であるトヨタの生産台数が前期を上回る見込み。部品メーカーも供給量が増え、収益を確保できる見通しだ。一方、原材料費や物流費などが高止まりしており、利益の押し下げが懸念される。

「資材などの高騰は落ち着いてきたが楽観視できない」と話すのは愛三工業の野村得之社長だ。中央発條の小出健太社長も「インフレの影響が大きい」と各社は24年3月期も鋼材やエネルギー費の高止まりが課題とみる。

主要供給先のトヨタは26年までに電気自動車(EV)の販売台数を年間150万台とする目標を掲げた。フタバ産業の魚住吉博社長は「世界新車販売台数におけるEVの進展を30年に3―4割とみていたが、特に中国や欧州で加速している」と認識を改める。内燃機関車向け部品が多い大豊工業の杉原功一社長は「インバーターケースなどダイカスト部品を第二の柱にする」と意気込む。

ファインシンターは23年3月期に一部固定資産について減損損失約22億円を計上した。エンジン向け部品が数年内に減少することを見越した措置で、EV対応に向け資産の効率化などを図る。井上洋一社長は「EVが150万台になる代わりに同じだけエンジン車がなくなるという前提で決断した」と話した。

23年3月期連結決算は自動車メーカーの減産の影響を受けたが、為替の円安効果で全社が増収。ただ原材料高騰などが利益を圧迫し、営業増益はフタバ産業、東海理化、愛三工業の3社にとどまった。

日刊工業新聞 2023年04月27日

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